2009年10月19日(月)「しんぶん赤旗」
全米各地で「戦争反対」訴え
アフガンから部隊戻せ
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【フィラデルフィア=西村央】全米各地で17日、アフガニスタン戦争反対を呼びかける行動がありました。1776年に米国の独立宣言が署名された都市、ペンシルベニア州フィラデルフィアでは、市役所前での集会に参加した市民が、歴史ある街並みをデモ行進。軍の駐留が相手国の独立を踏みにじっていると批判し、「占領は犯罪だ」と訴えました。
午前11時、厳しい冷え込みと小雨のなか始まった集会には約200人が参加。米軍や北大西洋条約機構(NATO)軍の攻撃で、多くのアフガン市民が命を落としていることなどの報告があり、「アフガンから軍撤退を」「戦費ではなく医療保険に予算を」のプラカードが揺れました。
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この日の行動には、反戦団体「ANSWER(戦争阻止と人種差別停止を今こそ)」や女性反戦組織「コードピンク」など多くの反戦平和団体が賛同。「アフガニスタンからわれわれの部隊を戻せ」を共通スローガンに、ボストンやサンフランシスコなど全米の約50都市でデモや集会が取り組まれました。
アフガンの治安情勢が深刻化する中で、米軍のマクリスタル現地司令官は4万人の増派を要求。しかし「たたかう価値のない戦争」との見方が国民の過半数に達する世論調査もあり、オバマ政権は厳しい戦略見直しを迫られています。
「増派でなく民生支援を」 参加者
フィラデルフィアでの反戦行動に参加した同市に住むマリー・マッカーサーさん=心理療法士=は、「米国は今、他の国から攻撃されているわけでもないのになぜ戦争を続けているのか」と語り、米政権が8年を超えたアフガニスタン戦争をさらに続ける構えを変えないことに強い疑問を投げかけました。
マッカーサーさんは「他の国を占領し、独立を踏みにじることは新たな武力抵抗を生むことになる」と、「対テロ」を理由にした戦争継続に厳しい目を向けました。
「おばあちゃんの平和旅団」のプラカードを持った同市のヘレン・オベルさん(81)は「今必要なのは増派ではなく、国連を中心とした平和に向けた枠組みをつくること。米国は病院や学校建設など民生分野でもっと役割を果たすべきです」と政策の転換を求めました。
ニュージャージー州から駆けつけた小学校教師のトム・レドウィッチ氏(52)は「アフガン問題の唯一の有効な戦略は、軍の撤退だ」として、オバマ政権内で議論されている増派を含む戦略を批判。「オバマ大統領を支持しているが、増派は絶対に支持できない」と断言します。
ベトナム戦争に従軍したというジョン・ブランド氏(62)は「米軍がなぜ今アフガンにいるのか、その理由がない。このままではベトナム戦争のような泥沼となり、米国にダメージを与える。アルカイダ掃討を軍事攻撃の目的にしたところで、いまアフガンにはほとんどアルカイダはいない」と、アフガン駐留継続や増派は無益だと指摘しました。(西村央)