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2009年10月14日(水)「しんぶん赤旗」

沖縄・新基地建設アセス

「県内移設」を容認

知事が「意見」提出


 沖縄県の仲井真弘多知事は13日、日米両政府が名護市の辺野古崎沿岸に計画している普天間基地代替施設の新基地建設にかかわる環境影響評価(アセスメント)準備書についての知事意見を防衛省沖縄防衛局に提出しました。


 知事意見は新基地建設について「県外がベスト」としながらも「(環境への配慮から)可能な限り沖合への移動」を求めるなど従来の「県内移設」に固執する考えを示しました。その一方で新基地建設を含む米軍再編での「政府の方針及び具体案を早急に示してほしい」としています。

 アセス準備書については「ジュゴンの複数年調査」「精度の高い予測・評価」「影響低減ができない場合の事業中止」など、事実上の「やり直し」を求めた県環境影響評価審査会答申の内容を盛り込みました。準備書の項目では再調査、予測・評価などの再検討について埋め立て事業で32項目316件、飛行場施設で28項目186件をあげています。

 仲井真知事は記者団の質問に対し、「現政権に見直しについての方針、具体案を早く示してもらいたい。結果として辺野古になるなら(アセス手続きを)くいのないようしっかりとやっておかないといけない」と語りました。

知事は反対主張を

古堅県書記長

 新基地アセスメントに対する知事意見について、日本共産党沖縄県委員会の古堅宗嘉書記長は13日、次のコメントを出しました。

 知事意見は、環境を守るためにアセスの再実施を要求しながら、埋め立て面積の大きい沖合への移動を主張するという自己矛盾に陥っています。知事は、サンゴ礁とジュゴンの海を守り、平和な沖縄のために、県民とともに新基地建設反対を新政権に主張すべきです。


解説

民意に背き矛盾だらけ

 仲井真知事は新基地建設(普天間基地代替施設)の「県内移設」容認の立場に固執しています。

 「当該事業は、自然環境への相当の影響が予想される」としながら、「可能な限り沖合へ移動する」という従来の発想を変えていません。

 知事は新政権の新基地建設問題での方針、具体案を示してほしい、としています。そのことを否定するものではありません。しかし知事に今、強く求められているのは「県内移設に反対」という一貫した県民世論に応え、これまでの立場を超えて民意に従うことです。さきの衆院選で県民は「県内移設」を推進してきた自民、公明に県内議席ゼロの審判を下しました。この県民の判断を受け入れるべきです。

 知事自身、開会中の県議会で日本共産党の「世界各地で米軍基地の撤去が進み、アメリカも日本も世界も大きく変わりつつあるときに知事が普天間基地の『移設』に屈し続けているのは奇異だ。態度を転換すべきだ」との質問に、こう答弁したはずです。

 「世界的な話は筋が通っている。よく理解できる」

 沖縄の米軍基地問題を決めるのは、沖縄県民です。1996年に日米両政府が新基地建設という「県内たらいまわし」路線を合意しながら、何度も建設計画を変え、自衛隊の軍艦まで投入しながらもこの13年間、両政府は県民の反対運動と世論の前に、くい一本打つことはできませんでした。

 知事は県民の「基地のない平和で豊かな沖縄」の願いを受け止め、いまこそ普天間基地の即時閉鎖、無条件返還というメッセージを日米両政府に伝えるときです。それが、「当該事業は、いったん実施されると現況の自然への回復が困難な不可逆性の高い埋め立て事業」(知事意見)からジュゴンやサンゴ礁という多様な生態系を守る最も確かな道筋だからです。(山本眞直)



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