2009年10月12日(月)「しんぶん赤旗」
主張
体育の日
スポーツに親しむ環境を
きょうは「体育の日」です。1964年の東京オリンピック開催を記念して制定された国民の祝日で、「スポーツに親しみ、健康な心身をつちかう」ことを趣旨にしています。
減少するスポーツ人口
健康で楽しく過ごしたい―国民の変わらぬ願いであり、切実な要求です。しかし、せっかくの「体育の日」だというのに、スポーツをやろうとしてもなかなか気軽にやれないのが、現実ではないでしょうか。長引く不況、貧困と格差の広がりで、スポーツどころでない状況も拡大しています。
家計のスポーツ関連支出は毎年減少し、スポーツ観戦、スポーツ用具・用品購入のいずれも減っています。家族でスキーを楽しんだり、野球やサッカーの観戦に行く機会も少なくなっています。
「体力・スポーツに関する世論調査」(内閣府)をみると、スポーツをやれる人とやれない人の二極分化が進み、全体としてやれない人が急増し、スポーツクラブ・同好会の加入率も下がっています。
気になるのが、厚生労働省の運動習慣者に関する調査で、20歳代のスポーツ愛好人口が、2002年から極端に減っていることです。青年の派遣労働が増え、残業や雇用の不安定などでスポーツする余裕がないからです。
学校の運動部活動への参加も減少しています。用具の購入や試合などの遠征費がかかり、アルバイトをしても追いつけない状況が広がっています。
追い打ちをかけているのが身近なスポーツ施設が減り続けていることです。98年に6万5千カ所あった公共スポーツ施設は、最新の調査では5万6千カ所と9千カ所も減っています。国民がスポーツする時間も場所もない―これでは「体育の日」の趣旨が泣きます。
背景には、この間の自公政権の悪政があります。このもとで、スポーツ振興法が改悪され、国が地方自治体のおこなうスポーツ施設整備に対し、経費の3分の1(土地代を含まず)を補助していた規定を廃止し、全額を自治体負担としてしまいました。
文部科学省のスポーツ予算も、「社会体育施設整備費」は82年の118億円をピークにどんどん減って05年には約10億円、06年からは項目そのものが消えてしまいました。国の「身近なスポーツ環境の整備」は放棄されたに等しい状況が長い間続いてきたのです。
政権が交代し、スポーツ分野で真っ先に取り組むべき施策は、国民がスポーツに親しめる条件整備に力をそそぐことであり、そのための予算を確保することです。国民の健康で文化的な生活を営む権利にかかわる課題として、国や自治体のスポーツ振興の基本を、ここにすえていく必要があります。
施設整備計画の推進を
そのためにも、国の責務として「スポーツ施設整備計画」の確立と具体化が急がれています。学校の体育施設など老朽化がすすんでいるもとで、耐震基準に即した改築も緊急の課題になっています。
日本共産党は、「スポーツの多面的な発展をはかり、国民の権利としてスポーツが保障されるようにする」との立場で、その実現に奮闘しています。
国民だれもが気軽にスポーツに親しめ、健康に生活ができる環境づくりの推進に力をそそぎます。