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2009年10月5日(月)「しんぶん赤旗」

主張

税制改革

消費税減税で庶民の応援を


 鳩山内閣は財務相を会長として政府税制調査会を再編成し、税制改革案を年内にとりまとめる方針です。

 これに対して、財界の司令塔である日本経団連(会長・御手洗冨士夫キヤノン会長)は2日、「税制改正に関する提言」を公表し、財界の要求を突きつけました。税制の抜本「改革」の課題として、2015年度までに消費税率を10%に、25年度までに17〜18%に引き上げ、法人実効税率を10%引き下げるよう求めています。

財界の身勝手許さない

 自公政権で財界は、税制にも特別な影響力を行使してきました。経団連会長が経済財政諮問会議の中心メンバーに座り、企業献金をテコにして自民、民主に直接、財界本位の税制の実現を迫ってきました。自公政権が生活に苦しむ庶民に増税し、大もうけしている大企業に減税するという逆立ちした税制「改革」を重ねてきた大もとは、財界の身勝手な号令です。

 衆院選で国民が自公政権に決定的な審判を下した根源に、国民を犠牲に大企業だけが栄えるゆがんだ政治への強い批判があったことは明らかです。経団連が懲りもせずに厚かましい要求を突きつけていることは許せません。財界には厳しい反省が求められます。

 経団連の提言が消費税増税の理由にあげているのは社会保障です。消費税は、ほかの税金と比べて「経済に与える影響も少なく」「国民全体で広く社会保障負担を分かち合う財源として最も相応(ふさわ)しい」と主張しています。

 厚かましいにもほどがあります。「経済に与える影響も少なく」と言いますが、消費税増税は大企業の競争力には痛くもかゆくもない一方で、暮らしと中小企業には最も痛い増税です。「国民全体で広く分かち合う」と言いますが、消費税は市場で力の強い大企業は実質的に負担しなくて済む大企業優遇の税金です。

 「社会保障のため」と言いながら、過去20年の消費税の税収のほとんどは大企業向けの減税に吸い込まれていきました。

 この「からくり」を隠すために自公は消費税の「社会保障目的税化」を打ち出しました。消費税はすべて社会保障に使うから増税を認めろと国民に迫るためです。たとえ「目的税化」しても、これまで社会保障に充ててきた財源、これから社会保障に充てるべき財源を、そっくり大企業減税に回せるようになるだけです。より巧妙な「からくり」にほかなりません。

 何より、「目的税化」は国民に消費税増税か社会保障をがまんするかを求める、理不尽な二者択一の制度化です。認めるわけにはいきません。

「逆立ち税制」正して

 日本経済研究センターの総選挙後の世論調査によると、「政府は高額所得者や大企業からもっと税金を取って、年金・医療などへの歳出にまわすべきである」と「思う」人が多数を占めています。とくに民主支持層では7、8割が「そう思う」と答えています。

 国民の意識は大きく動いています。「逆立ち税制」を正して、いま一番苦しい庶民の暮らしを支える税制への改革こそ必要です。消費税の増税に反対し、食料品など暮らしにかかる消費税の緊急減税を求める世論と運動を大きく広げようではありませんか。



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