2009年10月3日(土)「しんぶん赤旗」
京都教員の過労認定
新たに2人 支援団体「画期的」
大阪高裁
京都市立小・中学校の教員・元教員9人が、超過勤務の是正を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(安原清藏裁判長)は1日、京都地裁判決(08年4月)で安全配慮義務違反があったと認められた寒川正晴さん(48)に加え、新たに宮川護さん(61)、馬越寛晃さん(56)についても違反があったとして、損害賠償を京都市に命じました。
判決は、各校長が「時間外勤務が極めて長時間に及んでいたことを認識、予見できた」のに「必要な措置をとったとは認められない」として、3人へ慰謝料55万円を支払うよう命じました。
この裁判は、04年1月、「もっと子どもたちと向き合う時間を」と超過勤務の是正めざし京都地裁に提訴。年々深刻化する教職員の長時間・過密労働の実態が明らかにされ、放置してきた京都市教育委員会の責任が問われてきました。
今回の高裁判決は、「労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」と使用者である市教委の責任とともに、「その権限を行使すべきである」と校長の管理監督責任も明確にするなど、地裁判決に追加・修正を加えました。
新たに過重な勤務実態と認定されたのは、▽研究発表の準備、学年主任としての野外活動の準備(宮川さん)▽生徒指導部長としてのパトロール・下校指導・養護施設での学習補充指導、このためにせざるを得なかった持ち帰り残業(馬越さん)―など。
裁判を支援してきた京都市教職員組合の新谷一男委員長は「特殊な例ではなく、ほとんどすべての教職員が日常的におこなっている仕事。違法と認めたことは画期的な判断」と評価。中学校教諭の馬越さんは「子どもとふれあう時間を取り戻し、定年まで働き続けられる職場づくりをめざして頑張りたい」と語っています。
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