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2009年10月3日(土)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄新基地

きっぱり断念するときがきた


 沖縄県環境影響評価審査会は、沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設に関し、防衛省が提出した環境影響評価(アセスメント)の準備書を批判し、やり直しを求めた答申を仲井真弘多県知事に提出しました。仲井真知事は、答申を受け準備書に対する知事意見を防衛省に提出することになります。

 知事が答申を尊重し、アセスのやり直しを防衛省に求めるのかどうかが問われます。国も県民の反対と県の審査会の答申内容を直視し、新基地建設の前提となる不当・違法なアセスの押し付けをやめるべきです。

「事業の中止」にも言及

 準備書は新基地建設による環境への影響が「総じて少ない」としていますが、審査会の答申は「影響が極めて大きい」としています。準備書が根本的な批判を受けたことを真摯(しんし)に受け止める必要があります。

 防衛省が準備書に固執し、アセス評価書の作成へと強引に手続きを進めるのでは、環境保護を目的としたアセス法の趣旨にも反し、県民の怒りを広げるだけです。

 答申は準備書の調査結果について、「十分なものとはいえない」と指摘し、「再度予測・評価を行う」よう求めています。「環境影響を十分に低減できない場合、事業の中止」を「排除」しないとものべています。審査会がここまでふみこんだのは、準備書があまりにずさんで、多少の手直しではすまない内容になっているからです。

 準備書は、たとえば爆音被害の不安にまったく応えていません。新基地は米軍のアジア太平洋戦略の最新鋭の拠点となります。普天間基地(宜野湾市)と同じように戦闘ヘリ、輸送ヘリ、輸送機が飛び交うだけでなく、普天間基地には配備されていない最新鋭の垂直離着陸機オスプレイも配備されます。広範な地域の住民を爆音被害で苦しめ、墜落の危険にさらすことになるのは明白です。

 準備書が米軍機の飛行は海上が主で、住宅上空の飛行は例外だとしているのは、県民への重大なごまかしです。米軍機は全方位で飛行訓練を行い、沖縄各地にある訓練施設にも往復します。早朝・夜間の飛行もついてまわります。県民の反発をかわすために全方位での被害予測もしないのはとうてい許されることではありません。

 新基地建設がもたらす絶滅危ぐ種のジュゴンへの影響調査もずさんです。準備書は知事が求めた複数年のジュゴン調査も行わず、ジュゴンは新基地をつくる辺野古の藻場を「利用しない」とのべています。これに対し答申は疑念を示し、再調査を求めています。

 もともと準備書の前のアセスの方法書も欠陥だらけでした。準備書の内容もずさんで、ヘリが離着陸するヘリパッドの設置や大型艦船が接岸できる岸壁の建設という重大問題を「後出し」するなど、検討に値するものではありません。国は違法・不当なアセスの押し付けをただちにやめるべきです。

基地なくす方向でこそ

 沖縄県民は「基地のない平和な島」を願っています。新基地建設計画は、基地による新たな痛みを押し付けるものです。そもそも新基地建設はアメリカの戦争態勢を強化するのが狙いです。

 米軍再編を見直し、基地の縮小・撤去をめざすときです。米軍基地を許す理由はありません。



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