2009年10月3日(土)「しんぶん赤旗」
自民運輸族に3500万円
海洋ゼネコンの政治団体
08年収支報告書
二階俊博前経済産業相ら運輸族と呼ばれる自民党国会議員が海洋ゼネコン(マリコン)関係者でつくるダミー(隠れみの)政治団体「さんそう会」から3500万円もの献金を受けていたことが2日、2008年分の政治資金収支報告書でわかりました。突出した献金からは、マリコン業界と運輸族の密接な関係がうかがえます。
4年で総額1億3500万円
「さんそう会」はマリコン大手の五洋建設(東京都文京区)、東亜建設工業(同千代田区)の元役員が歴代の代表となり、会計責任者を旧運輸省港湾局の元職員が務める“官業一体”の政治団体です。
08年分の収支報告書によると、同会は二階前経産相の派閥政治団体「新しい波」に1000万円を献金しています。
旧運輸省港湾局OBの泉信也元国家公安委員長(参院議員)が代表の政党支部と資金管理団体には計1000万円。同じく港湾局OBで港湾議員連盟の事務局長を務める渡辺具能元衆院議員(8月の衆院選で落選)には計1500万円の献金がありました。
さんそう会は、マリコン業界の政治団体であることを明確にしておらず、その活動実態も不明です。政治資金パーティーを収入源としていますが、パーティー券購入者名はいっさい明らかになっていません。本紙の取材要請にも代表と会計責任者は応じていません。
同会関係者は自民運輸族への献金の原資について、「マリコン業界の複数の会社が、実質的には出している」とのべ、「港湾工事などで仕事につながればいい。1社だけの献金では大手ゼネコンに対抗できない」と証言しています。
本紙の調べで、さんそう会は05〜07年の3年間にも総額1億円を二階氏ら3氏に献金したことがわかっています。4年で1億3500万円となります。
また、「さんそう会」関係者の証言によると、二階氏側からの要請を受けて03年の「新しい波」結成時に、3000万円を献金しています。
献金を受けた「新しい波」事務所は「政党の機関紙等の質問については一切回答いたしておりません」と答えました。泉氏の事務所も「政治資金収支報告書の通りであり、ご質問にはお答えいたしかねます」としています。
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