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2009年9月29日(火)「しんぶん赤旗」

主張

自民党総裁選出

後ろ向きの野党に未来はない


 自民党の総裁選挙で、元財務相の谷垣禎一氏が中堅・若手らの推した河野太郎氏と西村康稔氏を退け、新総裁に選出されました。

 衆参両院の議員票199票、都道府県連ごとに党員が投票する地方票300票のうち、谷垣氏の得票はいずれも過半数を占めました。しかし地方票では河野氏が109票を獲得しており、圧倒的な勝利というほどではありません。地方票の投票率も前回を下回り、低調ぶりは明らかです。

「再生」いうが旗がない

 それにしても、ほとんど国民の話題にものぼらない、盛り上がりを欠いた総裁選でした。自民党が政権党から野党になり総裁選が首相指名に直接かかわらなくなったことや、有力候補が次々辞退しただけではありません。論戦自体が「挙党一致」や「世代交代」など内向けに終始し、総選挙敗北の原因や反省についても、どう再生しようとするのかについても、示すことがなかったからです。

 今回の総裁選は、自民党が総選挙で大敗し、麻生太郎氏が首相も総裁も辞任したことによるものです。本来自民党が国民の信頼を取り戻そうと思うなら、なにはさておいてもこれまでの政治をどう反省し、どういう方向をめざすのかを明らかにすることが不可欠です。自民党の「再生」を口にしながら「旗」も掲げられないのでは、期待しろといっても無理な話です。

 総選挙での国民の審判は、自公政権に「ノー」の審判を突きつけるとともに、長年にわたった「大企業中心」「日米軍事同盟中心」の自民党政治そのものが、もはや国民に通用しなくなったことを示しています。とりわけ大企業を肥え太らせただけで国民の「貧困と格差」を拡大し、暮らしをズタズタにした「構造改革」路線への批判が噴出しました。

 いまや自民党を支持してきた医師会や農業・中小企業団体など支持基盤からも“自民党離れ”が相次いでいます。にもかかわらず、小泉純一郎内閣の財務相として「構造改革」路線を推進した谷垣氏からは、反省のことばもなければ、「構造改革」路線を変えるという表明もありません。地方に支持を広げた河野氏は、「中途半端が問題」と、小泉「構造改革」路線を徹底する立場です。反省も転換もないままでは、「再生」の「旗」を掲げることはできません。

 3人の候補は総裁選終盤になって、鳩山由紀夫内閣への批判を繰り返すようになりました。しかしその内容は、「負担が後回しでは行き詰まる」(谷垣氏)などと、国民への負担増を迫るものです。鳩山内閣が打ち出した、温暖化防止のため温室効果ガスを2020年までに25%削減するという目標に対しても、反対する財界や一部の産業界の意向を受け、「国民の合意がない」(同)という批判です。いずれも国民の願いを実現する立場からのものではありません。

国民の願い実現を妨害

 自民党が政権党の時代に進めた路線は反省しないまま、野党になったからというだけで新政権の政策をあれこれ批判しても、それは“後ろ向き”の批判にしかなりません。それこそ国民の願い実現を妨害するだけです。

 自民党が歴史的大敗をもたらした根本的原因に向き合わず、“後ろ向き”の批判を続ける限り、そんな「野党」に未来はありません。



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