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2009年9月26日(土)「しんぶん赤旗」

主張

安保理首脳会合

核のない世界が現実の課題に


 国連安全保障理事会が核兵器をめぐる問題で初めて首脳会合を開きました。採択された決議は、安保理が「核兵器のない世界」を目指した条件づくりに取り組む決意を宣言しました。核不拡散条約(NPT)6条にもとづいて、核軍備の削減・撤廃の交渉を誠実に行うことを呼びかけました。

「前進の一歩」

 オバマ米大統領が「核兵器を使用した唯一の国としての道義的責任」を指摘して、「核兵器のない世界」を米国の国家目標とすると初めて表明してから半年たらず。「核兵器のない世界」を目指すとする決議が初めて、同大統領が主宰した安保理で採択されました。

 採択は全会一致でした。安保理常任理事国はいずれも核兵器保有国です。安保理で決議が採択されたことは、「核のない世界」が核保有国も含めた世界の圧倒的世論であることを確認したものです。

 各国は核兵器廃絶に向けて行動することが求められています。核兵器をめぐる状況は一歩前進しました。

 鳩山由紀夫首相も安保理で「唯一の被爆国としての道義的責任」として、日本が「廃絶に向けて先頭に立つ」と表明しました。

 決議はNPTのもとでの交渉を呼びかけましたが、廃絶への具体的な道筋を描くにはいたっていません。保有国には速やかな廃絶への用意がまだありません。非常任理事国は「核兵器のない世界こそ目標でなければならない」(オーストリア)、「最終目標は核兵器の全面廃絶でなければならない」(メキシコ)と強調しました。

 核兵器が世界にもたらしている脅威は、なにより一部の国が核兵器を保有していることによります。NPTが一部の国に核兵器の保有を認めた不平等性が、他の国への拡散を引き起こしています。非常任理事国のウガンダは一部の国が保有していることこそ、他の国が自分も保有したいと考える「唯一の理由だ」と指摘しました。

 決議本文は冒頭で、国連憲章上の拘束力をもつ安保理が拡散問題に「一義的な責任」をもつと強調しています。NPT体制を強化することで、核兵器の拡散を阻止しようとしています。

 オバマ大統領は安保理でも国連総会でも、「世界は国際法が空約束でないことを証明しなければならない」と強調しました。核保有国は発言で、核実験を行った北朝鮮や核開発の疑惑があるとされるイランを名指しで非難しました。

 拡散を懸念する核保有国の政治指導者の間にもNPTの抱える矛盾に目を向け、「核のない世界」を目指すことが不可欠だとする認識が生まれています。

 「核のない世界」が将来目標にとどまる限り、拡散問題も解決しません。いまこそ核兵器廃絶に向けて行動すべきです。

NPT再検討会議へ

 核兵器をなくすには廃絶のための国際条約を締結することが不可欠です。それこそが「核のない世界」のための条件です。NPT再検討会議まであと7カ月です。首脳会合でトルコは2000年の再検討会議で核保有国が廃絶への「明確な約束」を行ったことを強調し、前進を呼びかけました。

 核兵器廃絶に向けて本格的な転換を築くため廃絶を求める圧倒的な国際世論を現実政治をさらに動かす力にしなければなりません。



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