2009年9月23日(水)「しんぶん赤旗」
米原子力艦船の放射能調査
日本政府、公表棚上げ
「開示可能」明言から3年
米海軍横須賀基地(神奈川県)への原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)の配備を前にした2006年、日本政府が横須賀市に対して「公表は可能」と明言した米軍の環境調査資料が、3年以上たった現在も公表されていないことが分かりました。
これは、米海軍が1964年以来、原子力艦船が出入りする横須賀、長崎・佐世保、沖縄・中城(なかぐすく)の各港湾で放射能汚染の有無を確認するため毎年、四半期ごとに実施しているとされる環境モニタリングの調査結果です。
06年4月に米側が公表した「合衆国原子力軍艦の安全性に関するファクトシート」では、「日本の港湾から採取された環境試料についての結果は、日本国政府への報告書において毎年提出されている」としています。
米側は、この環境モニタリングの結果、人体や海洋生物などへの影響は確認できないとしています。
横須賀市が06年5月8日に提出した質問書で「この報告書は提供してもらえるのか、提供できない場合はその理由」と質問したのに対し、政府側は同年6月12日に書簡で「公表は可能である」と明言しています。
ところがこのほど、本紙が外務省に問い合わせたところ「報告書の公表については米側と調整中」(日米地位協定室)であり、いまだに公表できないとの見解を示しました。
麻生太郎外相(当時)は横須賀市の蒲谷亮一前市長に政府書簡を手渡し、「米原子力軍艦の安全性は確保されていると確信している」と表明。蒲谷氏も「安全性に関する政府の立場は理解した」と述べ、これ以後、原子力空母配備容認へと立場を転換しました。