2009年9月22日(火)「しんぶん赤旗」
五輪招致PRイベント
1日で1億円
東京招致委
多額の費用をかけた五輪招致イベントが批判を浴びそうです。2016年夏のオリンピック・パラリンピック開催地決定を10月2日に控え、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会は23日、約1億円のPRイベントを開催します。
同日、東京・原宿の表参道では「開催決定応援大パレード」と銘打って、石原慎太郎東京都知事が参加するほか、選手、企業、チアリーディングなどを動員。「さらなる招致気運の高揚とともに国民の皆様の開催熱意を国内外にアピールする」として、正午からたった3時間半あまりのパレードに7千万〜8千万円もの経費をつぎ込みます。
さらに、代々木公園では「トップアスリートとスポーツ体験」を予定し、1500万円ほどの予算が使われます。この二つのイベントを合わせて約1億円。なりふり構わぬPRぶりです。
背景には、東京五輪への低い支持率があります。2日に公表された国際オリンピック委員会(IOC)評価報告書では56%の支持にとどまり「比較的低く心配」と指摘されています。
開催地が決まるIOC総会への「応援ツアー」も17日の時点で一般参加は約120人どまり。締め切りを延長しても枠が埋まらず、都職員に動員をかけ、70人ほどが自費で参加し、定員を確保できたといわれています。
支持率の低さには理由があります。東京都は五輪招致をてこに三つの環状道路の建設など9兆円の大型開発を進めてきました。また、オリンピック憲章では「スポーツは権利」と定め、人々はその「機会を与えられなければならない」としていますが、都民のスポーツ予算の7割を削ってきたのが石原都政です。都民は何のための五輪か見抜いています。
大規模なPRイベントで五輪招致の機運を高めようという東京都の姿勢は異様で、直前になっても盛り上がらないことへの不安を逆に浮き彫りにするものです。(呉 紗穂)
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