2009年9月21日(月)「しんぶん赤旗」
大詰めのドイツ総選挙
経済危機の克服が争点
アフガン撤退も急浮上
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【ベルリン=片岡正明】ドイツ連邦議会の総選挙戦は、27日の投票を前に、各党が政策を訴えて追い込みに入っています。そのなかで経済危機克服とアフガニスタンからのドイツ軍撤退問題が争点となってきました。
ベルリンに住むマルクス・フォーペルさん(46)は勤めていた会社から解雇され、失業中。「環境政策で職をつくり出す政策を打ち出している党」に期待を語りました。
輸出大国ドイツは米国発の経済危機の影響を深刻に受けました。今年の経済成長はマイナス5〜6%と予測され、失業率は9%台に達しています。社会民主党(SPD)、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の両党が2005年の連立政権発足当初に掲げてきた「構造改革」路線は影を潜めています。
「最賃約1000円」
特にSPDは、90年連合・緑の党との連立だったシュレーダー前政権以来掲げてきた構造改革プログラム「アジェンダ2010」から、「社会的公正」を前面に打ち出す政策に転換。低所得層の減税と富裕層の増税を打ち出しました。全国一律の最低賃金制度(時間給7・5ユーロ=約1000円)も主張しています。
CDU・CSUの主要な政策は富裕層を含めての減税。最低賃金制度には雇用を阻害すると反対しています。
しかし、両党ともに、雇用創出に有効な方策があるわけではありません。基幹産業の自動車産業の回復を狙った自動車買い替え時支援金政策の資金も底をついています。
左翼党は、時給10ユーロでの全国一律最低賃金確立や長期失業者への支援策を訴えています。富裕層への税率引き上げ、貧困層の非課税拡大などでの富の再分配を主張しています。
緑の党は、環境問題解決のための大規模プロジェクトで雇用問題も解決しようと主張しています。
9月に入ってアフガニスタンからのドイツ部隊撤退が争点として浮上しました。ドイツ軍の要請による米軍機空爆で多数の民間人が死亡した事件は、国民に衝撃を与えました。ドイツ軍派遣目的は、政府の説明では復興、人道援助のための平和維持のはずでした。それが戦争そのものを遂行していることが明らかになったことで、アフガン撤退を求める声は高まり、国民の7〜8割に達しています。
「テロ増える」
「戦争でテロが増えている。ドイツ軍はすぐに撤退すべきだ」―19日、ベルリンのウェディング地区での左翼党選挙集会で、ギジ連邦議会会派共同議長の訴えに大きな拍手がわきました。連邦議会内で唯一、アフガン撤退を主張している左翼党の支持率は、9月の第1週には14%に跳ね上がりました。
18日発表されたドイツ公共テレビARDの世論調査で、CDU・CSUは35%とSPDの26%に大差をつけています。また、自由民主党は14%、左翼党は11%、90年連合・緑の党は10%となっています。