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2009年9月20日(日)「しんぶん赤旗」

主張

自民党

何のための総裁選なのか


 「再生」を掲げた自民党の総裁選が告示され、公開討論会や演説会などがおこなわれています。

 先の総選挙で大幅に議席を減らして政権の座から滑り落ち、麻生太郎首相(総裁)が辞任したことによるものです。第1党でなくなった自民党の総裁選は、政権にかかわるわけではありません。しかし先日まで政権党として悪政をほしいままにしてきただけに、無関係とはいきません。

国民の審判への反省は

 総裁選には、元財務相の谷垣禎一氏と若手の河野太郎氏、西村康稔氏の3人が立候補しました。立候補が取りざたされた前厚労相の舛添要一氏や元防衛相の小池百合子氏は立候補しませんでした。

 総裁候補になにより問われるのは総選挙での審判にどう向き合うかです。その点では3人とも評価できるものはありません。

 谷垣氏は「みんなでやろう自民党再生」、河野氏は「自由民主党を抜本的に改革」、西村氏は「出直そう自民党」などがスローガンです。総選挙で大敗したことへの衝撃はあっても、いずれももっぱら内向きで、国民の審判をうけとめ、反省する姿勢はみられません。

 最大の問題は、財界の利益を増やしただけで国民の暮らしをズタズタにした、「構造改革」路線への態度です。

 谷垣氏はもともと小泉内閣で財務相を務め、「構造改革」路線の先頭に立った人物です。総裁選にあたっても、「必要な構造改革はしないといけない」と、まったく反省がありません。

 河野氏も、「構造改革をやり遂げることで自民党が本来めざすべき小さな政府や安定した社会保障が実現できる」、西村氏も「『官から民へ』のプラス面は大きなものがある」と、「構造改革」路線を評価しています。国民の批判に向き合う態度はありません。

 国民が「構造改革」路線で痛めつけられてきたことは、政府の調査でも、生活が「向上している」という人が年々減り、「低下している」という人が増えていることでも明らかです。国際的な調査でも、日本は「ワーキングプア(働く貧困層)」など貧困層の割合が、先進国中最悪水準です。

 「規制緩和」で大幅に増えた「非正規」の労働者が、景気が悪化すれば切り捨てられ、仕事も住まいを奪われて、路頭に迷っています。「小さな政府」を掲げた社会保障の切り捨てで、命の綱の生活保護も、医療も、年金も奪われ、最低限度の生活も維持できません。

 こうした現実を前になお「構造改革」路線は間違っていないと言い張る自民党の総裁候補に、国民の暮らしを語る資格はありません。これでは審判にこたえるどころか、いよいよきびしい批判にさらされることになります。

存立基盤がなくなる

 自民党が総裁選挙でも総選挙での自らの大敗の根本原因に向き合わないのでは、いよいよこの党に存立基盤がなくなります。

 総選挙での敗北を受けた自民党の「再生会議」の報告でさえ、「敗因は党に対する積年の不満」「構造改革に対する評価・総括が十分行われなかった」と分析します。

 「再生」の旗も掲げられない自民党に、期待できるものは何もありません。自民党政治のゆがみを大本からただすことこそ、政治を前に進めることになります。


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