2009年9月19日(土)「しんぶん赤旗」
新たなセーフティーネット
使える制度に
東京で集会
雇用保険と生活保護の間をつなぐ「新たなセーフティネット」が10月から本格実施されるのを前に、「徹底検証!新たなセーフティネット―本当に使える制度にしよう!」との集会が17日夜、東京都内で開かれました。
主催した「人間らしい労働と生活を求める連絡会議」の宇都宮健児弁護士は、「『派遣切り』などにあった人を救う手段が生活保護しかなく、日本の社会保障はあまりに貧困だった」と指摘。新たなセーフティーネットがようやく始まるが、このことで生活保護制度の利用が不当に抑制されてはならないし、使い勝手のいいものに充実させていくことが重要だとのべました。
セーフティーネットの各制度の窓口がばらばらで、給付と貸付が複雑に入り交じり、生活保護制度との守備範囲も不明確なことがコントで説明されました。
厚労省の中井雅之企画官、自治労の秋野純一氏、全労働の河村直樹副委員長、労金協会の鹿島健次氏、尾藤廣喜弁護士が現場の実態も出し合いながら討論しました。
「職業訓練中の生活費給付制度も給付の要件が厳しすぎ、『派遣切り』にあって実家に戻ったとしたら、世帯主でないということで受給できない」(河村氏)、「新しい制度ができたのは画期的だが、思いつきで、既存の制度を利用したため矛盾がある。セーフティーネットは本来、企業が負担しなければならない問題。今回の制度は貸付に重点を置いているのが問題で、結局、個人責任となる」(尾藤氏)など語りました。
集会では、民主、社民、国民新、自民、公明、みんなの党の代表があいさつしました。日本共産党からは小池晃政策委員長・参院議員、穀田恵二、笠井亮、高橋ちづ子、宮本岳志の各衆院議員が参加しました。
小池氏は、第二のセーフティーネットができたこと自体は運動の成果だが、要件や受け入れ期間が狭いなどいろいろな問題があり、「問題点をただし、条件なしの、恒久的な支援制度をつくっていく必要がある」と語りました。
新たなセーフティネット 「派遣切り」などへの批判が強まるなか、麻生前内閣が住居を失った離職者への支援策として構築。職業訓練を受講する場合、月10万〜12万円を給付する制度や、2年以内の離職者に生活保護の住宅扶助費と同額の「住宅手当」を給付する制度などを新設したほか、住宅入居費など「総合支援資金」の貸付、当面の生活費となる「臨時特例つなぎ資金」の貸付などを行います。しかし、条件付き、3年の期限付きなどさまざまな問題点があります。
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