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2009年9月18日(金)「しんぶん赤旗」

主張

待機児童2万5千人

本格的な保育所建設へ舵を


 保育所に申し込んでも入れない待機児童が、今年の4月1日時点で2万5384人になったことがわかりました。前年から5800人余の増加で、1・3倍となる急増ぶりです。待機児童問題をはじめとする子育て支援は、総選挙でも大きな争点にもなりました。安心して子どもを生み育てられる社会へ、本格的な対策が急務です。

100万人が潜在的に

 待機児急増の背景には経済危機による「共働き」増加が指摘されますが、一過的一時的なものではありません。欧米などでは、女性も出産・子育てしながら働き続けることは当たり前です。日本では約7割の女性が妊娠・出産で仕事をやめています。しかし家庭で子育てしている女性の84%は、保育所に入所できれば就労を希望しているのです(内閣府調査)。潜在的な待機児童は100万人規模にのぼることを政府も認めています。

 小手先の対応で解決できないことは明らかです。政府の責任で保育予算を抜本的に増額して、認可保育所を計画的に建設する以外には解決の道はありません。

 一方で保育所建設の促進を口実にして、職員配置や面積などの国の基準を廃止し、それぞれの自治体の判断に委ねるよう求める動きがあることは重大です。地方分権改革推進委員会などが廃止を求める保育所最低基準は、現状でもきわめて低いものです。3歳以上児の面積を比べるとストックホルムの4分の1、パリの半分以下です。諸外国が遊ぶ、食べる、寝るという子どもの活動に必要な面積を保障する見地にあるのに対して、日本ではぎりぎりのスペースしかありません。今年3月に発表された厚労省の委託研究でも、基準の引き下げは「一人ひとりの子どもの発達に応じた保育をさらに困難にする」と指摘しています。職員配置も低水準です。

 最低基準をなくすのでなく、むしろ基準を引き上げることが求められているのです。父母の願いも子どもを“安心して預けられる保育所”です。「規制緩和」や詰め込みによる保育条件切り下げの流れを、子どもの命と成長を支え、親の就労を保障する公的保育の抜本的拡充へと切りかえる時です。

 まず、自公政治がすすめてきた保育制度改悪の検討は、ただちにストップすることです。そもそもこの検討は、社会保障削減の中で経済財政諮問会議など財界が強硬に要求し、当時の福田康夫首相の指示で始まったものでした。自公政治の社会保障切り捨て、「構造改革」路線に国民のノーの審判が下った今、「構造改革」路線を保育に持ち込み、国と自治体の責任を後退させる制度の検討を継続する道理はありません。検討を白紙に戻し、全国2万カ所の保育所で213万人の子どもが利用している現在の保育制度の到達点を生かした改善、充実をすすめることです。

国民の願いに耳傾けて

 OECD「子どもの幸福」報告書によると、日本の6歳未満の子どもへの公的支出は加盟国平均の半分以下にすぎません。新しい政権が国民の声に耳を傾け、保育予算を増額し本格的な認可保育所建設にふみだすことを求めます。

 国民が切実に望む安心して子育てできる社会へ、税金の使い方を改め必要な予算を思い切ってそそぐ政治へと、父母、国民の力強い運動の発展が期待されています。



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