2009年9月14日(月)「しんぶん赤旗」
米、新政権を注視
「核の傘」提供 協議停止続く
7月の日米安全保障高級事務レベル協議(SSC)で、自公政権が米国と合意していた「核の傘」協議が止まっています。民主党中心の新政権の動向を注視している米側の姿勢を示すものとして注目されます。
同協議は、米国による「核の傘」の提供を含む「拡大抑止」に関するもので、日米間で継続的に行うことで一致しました。日本政府は当初、8月上旬に米国との最初の「核の傘」協議を行う予定でしたが、総選挙前であり、「新政権の動向を見極めるべきだ」との意見が日米双方から出され、協議は「延期」(外務省幹部)になりました。
日本政府は昨年秋の米大統領選以後、米側に対して繰り返し、米軍による核抑止態勢の維持を要請し続け、オバマ米大統領が目指す「核兵器のない世界」の実現を妨害する役割を担ってきました。「拡大抑止」の協議も、核抑止態勢の維持を前提にしています。
これに関して民主党の鳩山由紀夫代表は8月23日のテレビ討論で、日本共産党の志位和夫委員長の指摘に応えて、「(核兵器を)持ち込ませないようオバマ大統領を説得する」とのべました。この発言は、米国の「核の傘」固執勢力に大きな衝撃を与えました。
SSCに米側代表として出席したキャンベル米国務次官補は2日、ワシントンで開かれたシンポジウムで「過去の自民党政権とは異なった政権移行が進行している。新たな意思決定の仕組みができるまでわれわれは数週間、いや数カ月間、がまんする必要がある」と述べ、新政権のゆくえを慎重に見極める考えを示しています。
外務省は新政権が発足すれば、ただちに新首相や新外相に対して、「拡大抑止」に関する日米間の協議の経緯を説明する予定ですが、同省幹部は「現時点で核協議の具体的な予定はない。実際に協議を行うかどうかは、新政権の動向にかかっている」と言います。