2009年9月12日(土)「しんぶん赤旗」
大学非常勤職員 雇い止め横行
“業務に不可欠な存在”
期限撤廃や雇用延長求め運動
「仕事ができるようになったのに、どうして雇い止め?」――いま、全国の国公立大学で、非常勤職員の雇い止めが問題となっています。
全大教教研集会分科会で交流
国立大学は、国から人件費5%削減が課せられたことから、常勤職員を削減する一方、非常勤職員を急増させました。大規模大学では数千人に達しています。非常勤職員の業務は、大学の一般事務から研究室の実験補助まで幅広く、ほとんどが恒常的なものです。3年で異動する常勤職員も多いなかで、業務に精通した非常勤職員はなくてはならない存在となっています。
ところが、国からの運営費交付金の削減など収入の確保の見通しが不透明なことから、ほとんどの大学は法人化後、新規採用の非常勤職員に3〜5年の雇用期限をもうけました。
このため、各大学で毎年、数人〜数十人の非常勤職員が雇い止めとなる問題が浮上しました。
こうしたなかで、各大学では、雇い止めを許さない運動が広がっています。4〜6日に静岡大学で開かれた全国大学高専教職員組合(全大教)の教職員研究集会の分科会で各大学の運動が交流されました。
ニュース配布
京都大学では、今年度末に雇用期限をむかえる非常勤職員数十人が雇い止めとなります。京都大学職員組合は、「恒常的業務をになう時間雇用教職員は、期間を定めない労働契約とすべき。雇い止めは、多大な非効率と損失をもたらす」と署名活動や組合ニュース配布、団体交渉などで期限撤廃をもとめてきました。
組合ニュースを記者クラブに配布したところ、マスコミに運動が紹介されました。今年6月には教職員有志143人が総長への要望書を提出。総長から非常勤職員の雇用制度見直しの検討を示唆する回答がありました。組合は、雇い止め問題の早期解決にむけて引き続き取り組んでいます。
まさに正念場
大分大学職員組合は、時間雇用職員の雇用上限が3年となっていましたが、昨年末から今年2月まで5回にわたって交渉し、雇用を1年延長させ、雇い止めをやめさせました。
東京農工大学職員組合では、非常勤職員にアンケート調査を行い、当局との交渉で、雇用上限3年を6年に延長させています。
全大教によると、今年4月から雇用延長または実質一律雇い止めが廃止されたのは、大分大学、東京農工大学など9大学、以前から雇用延長を行っているか実質一律雇い止めが廃止されているのは19大学となっています。
藤田進・全大教中央執行委員は「各大学のとりくみで、期限の撤廃や延長など成果をあげているが、今年度末に雇い止めとなる職員は多数いる。たたかいの正念場はまさにこれから」とよびかけました。