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2009年9月11日(金)「しんぶん赤旗」

主張

同時テロ8年

泥沼化するアフガンの戦争


 2001年のきょう米国で、国際テロ組織アルカイダによる同時テロが起きました。1カ月後、ブッシュ米大統領はテロへの報復として、国際社会の強い懸念を押し切ってアフガニスタンに侵攻しました。

 アフガンでの戦争は市民にも、米軍をはじめ外国軍にも犠牲を拡大しています。オバマ米大統領は戦争遂行にますます困難を抱えながら、戦況悪化に直面して地上軍増派の検討を迫られています。米国が情勢立て直しの突破口と期待したアフガン大統領選挙も、不正が明らかになるなか新たな障害になることが懸念されています。

「オバマの戦争」へ

 同時テロから8年後のいま、世界は大きく変わりました。ブッシュ前米政権の「一国覇権主義」は内外で孤立して破たんし、国際協調を掲げるオバマ政権に代わりました。イラクでは米軍の段階的撤退が行われています。

 しかし、アフガンでの戦争はブッシュ政権時代と変わっていません。オバマ大統領はアフガン戦争を米国にとって「必要な戦争」だといいます。米国が「選び取った」イラク戦争とは違い、遂行しなければならないと主張します。ゲーツ米国防長官も米軍撤退は選択肢にないとしています。

 オバマ大統領は、ブッシュ前大統領が好んで使った「対テロ戦争」の表現を避けています。しかし、アルカイダは米国へのさらなる攻撃を企図しており、アフガンを放置すれば出撃基地になる、と戦争継続の理由を説明します。8年にわたる戦争でもアルカイダ問題は解決せず、テロの脅威はなくなっていないというのです。

 戦争は泥沼化を深めています。米軍の月間犠牲者はこの8月、開戦以来最大になりました。イギリス軍などの犠牲者も増加の一途です。アフガン戦争を「たたかう価値がない」と考える米国民は過半数にのぼっています。

 外国軍による空爆がアフガン市民への被害を広げています。4日に起きた北大西洋条約機構(NATO)軍による誤爆では多数の民間人が死傷し、空爆を要請したドイツ政府をはじめ派兵する欧米諸国を揺るがしています。

 米軍の現地司令官は、民間人に犠牲をもたらす空爆を抑制するためとして、地上軍の追加増派を米政府に進言しています。オバマ政権はすでに1万7千人を増派しており、追加増派は政治的に困難です。しかも地上軍増派も手直しにすぎず、掃討作戦が民間人に被害をもたらす以上、抜本解決にはなりません。

 こうした軍事作戦が住民の反感を強めています。住民の目には外国軍が占領者と映ります。外国軍の活動が武装勢力タリバンの勢力拡大の一因になっています。

根本から見直しを

 米国をはじめ派兵する各国は政策を根本的に見直すべきです。戦争でテロをなくすことはできません。暴力の連鎖を断ち切って政治解決に踏み出すことこそ、アフガン問題の解決につながります。

 日本共産党は開戦前から、テロを根絶するには国際的な世論の包囲と国際法にもとづく制裁によって、犯罪者に「法の裁き」をくわえることが大道だと主張し、軍事力の行使を強く戒めてきました。いまこそ原点に立ち戻り、アフガン戦争をすみやかに終結させるべきです。


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