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2009年9月10日(木)「しんぶん赤旗」

主張

自民党総裁選

敗北の重さが混迷を深める


 総選挙で大敗した自民党が、特別国会での首相指名選挙をめぐり、混迷を極めました。

 大敗の責任をとって辞める麻生太郎総裁には首相指名投票で投票できないと批判され、麻生氏は指名選挙前に辞任することになりました。執行部はこれによって首相指名選挙は「白紙」投票で取りまとめようとしましたが、国会議員の責任放棄になるとの批判が強くてまとまらず、結局、若林正俊両院議員総会長を「暫定候補」に立てることになりました。形ばかりの「首相」候補です。

「自公政権ノー」の審判

 麻生氏が首相指名選挙の前に辞任することで、自民党は28日の総裁選までは総裁が空席になるという異常事態です。総裁選の行方も不透明です。文字通り大敗の重みが、自民党を迷走させています。

 自民党は総選挙の結果、改選前にくらべ議席を約3分の1に減らして政権党の座を失い、1955年の結党から半世紀ぶりに第1党の座も滑り落ちました。自民党にとって深刻なのは、その大敗が自ら招いた結果だということです。

 選挙後おこなわれたどのマスメディアの世論調査でも、民主党が自民党に大勝した理由は、「麻生首相や自民への不満」が46%(「読売」2日付)、「自民党への不満」が52%(NHK7日放送)などとなっています。選挙結果が、民主の政策を国民が支持したというより、「自公政権ノー」の審判だったことは明白です。

 しかも、その調査で自民党の敗因を見ると、「政策や実績への不満」32%、「政権担当能力の低下」27%、「自民への拒否感」19%など(いずれも「読売」)があげられています。産経・FNNの合同調査(8日付)でも、トップは「麻生首相の判断や言動」29・5%ですが、「自民党の実績の評価」28・9%や、「麻生首相以前の首相の判断や言動」19・6%などが上位に並びます。

 自民党の政治そのものが国民に愛想をつかされていることを、調査結果は示しています。総裁の首をすげかえたぐらいですむ問題ではありません。

 大事なのは、選挙結果が自公政権に「ノー」の審判を突きつけただけでなく、「財界中心」と「日米軍事同盟中心」という自民党政治そのものがもはや通用しなくなっていることを浮き彫りにしていることです。

 長年にわたった自民党政治で国民の暮らしはズタズタにされてきました。

 財界・大企業の利益を最優先する自民党の政治では暮らしと経営は守れないし、何があってもアメリカとの軍事同盟を守って軍事一辺倒で対応するという政治では、日本の平和も守れないというのが国民の実感です。

 都市でも農村でも、自民党のこれまでの支持基盤が音を立てて崩れています。日本に新しい政治を開いていくためには、自民党政治のゆがみを大本からただす仕事を避けて通ることはできません。

歴史的使命終わったの声

 選挙後混迷を深める自民党の姿は、それ自体、自民党には事態に対応する能力が失われたことを示すものです。同時に、自民党内からも、自民党の歴史的使命は終わったとの声が上がります。

 自民党が自らの大敗の根本原因に向き合わない限り、いよいよこの党に未来はなくなります。



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