2009年9月10日(木)「しんぶん赤旗」
天下り 続々
政権交代の直前に
玉突き、渡り鳥…
総選挙前に、国土交通省事務次官など高級官僚の天下りが明らかになりましたが、選挙後も、民主党中心の政権発足前にと、かけこみ的な天下りが相次いでいます。
農林水産省
農林水産省所管の漁業団体である社団法人「大日本水産会」(東京)は2日、農水省の白須敏朗前事務次官を同日付で会長に迎えたことを明らかにしました。1日に臨時開催された総会で決まったもので、任期は2年、報酬は年1860万円にのぼります。
前会長の中須勇雄元水産庁長官は、ことし5月の総会・理事会で4期目に選任されたばかりです。白須氏は昨年9月、汚染米の不正転売問題の対応の責任を取って次官から同省顧問に退いていました。
同省関連では、ことし7月に退任したばかりの内藤邦男前林野庁長官が9月1日に独立行政法人「農畜産業振興機構」の副理事長に就任しています。これにともない、同機構の前任副理事長だった高橋賢二・元農林水産技術会議事務局長が、財団法人「日本食肉流通センター」理事長に再就職。同センターの前任理事長だった山本徹・元林野庁長官が、財団法人「日本穀物検定協会」の会長に再就職するという“玉突き”天下りも明らかになりました。
厚生労働省
一方、旧厚生省の保険局企画課長などを経て、内閣府審議官を7月に退職した旧厚生省出身の柴田雅人氏は、8月29日付で厚生労働省所管の社団法人「国民健康保険中央会」の理事長に就任しました。
九州厚生局長を同じく7月に退任した青柳親房氏も、同省所管の独立行政法人「福祉医療機構」の理事に9月3日付で就任しています。郵便不正悪用にからむ公文書偽造事件で任意聴取され、7月18日付で「一身上の都合」を理由に理事を辞めた同省元障害保健福祉部長の後任ということになります。
国土交通省
また、国土交通省の伊藤茂前海事局長は、8月12日、同省所管の民間法人「日本小型船舶検査機構」の理事長に就任していました。
総選挙前には、元国土交通省事務次官の峰久幸義氏が住宅金融支援機構副理事長に、前特許庁長官の鈴木隆史氏が独立行政法人「日本貿易保険」理事長に、前文部科学省事務次官の銭谷真美氏が東京国立博物館館長に、それぞれ就任しています。
文部科学省
さらに、元文科審議官で独立行政法人「日本学生支援機構」理事の矢野重典氏は、認可法人「公立学校共済組合」理事長に就任しました。同氏は、2004年7月に文科省を退官後、国立教育政策研究所長に就任しており、典型的な「渡り鳥」官僚です。
政財官の癒着を断ち切るには、高級官僚の営利企業や関連業界団体、政府関係法人への天下りを禁止する必要があります。
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