2009年9月9日(水)「しんぶん赤旗」
アフガニスタン アヘン生産減少
国連報告書
背景に価格下落・政府の転作奨励
国連薬物犯罪事務所(UNODC)の報告書「アフガニスタン・アヘン調査2009」によると、アフガンの同年のケシ耕作面積は12万3千ヘクタールで、前年同期と比べて22%減と大幅に減少しました。同報告書はUNODCが2日、カブールでのアフガン麻薬対策省などとの共同記者会見で発表しました。(安川崇)
ケシはアヘンの原料で、さらにヘロインなどの薬物に精製されます。
アフガンは昨年、世界のアヘン供給量の9割を生産。かんがい施設が未整備な同国で、多くの農民が困窮を逃れるためアヘンを栽培しており、密輸経済が反政府武装勢力タリバンの重要な資金源になっているとされます。
報告書によると、この1年間のアヘン生産量は6900トンで、前年比約10%の減。耕作面積が減った割に生産量の減りが少なかったのは、1ヘクタールあたりの生産量が約15%増加したためだとしています。
一方、世界的な供給過剰などからアヘンの価格が下がっており、農家が出荷する乾燥アヘンの1キロあたりの価格は95ドルから64ドルと、「90年代後半以降、かつてない下落」を見せました。
生産量減少の背景にはこの価格下落のほか、政府による合法作物への転作奨励、北大西洋条約機構(NATO)軍と米軍が武装勢力と密輸業者の連携を破壊してきたことなどがあると指摘しています。
一方で、UNODCのコスタ事務局長は「アフガンの麻薬は今も破滅的な帰結をもたらしている。反政府集団の中に、麻薬カルテルを形成しつつあるものがある」と警告。密輸で高い利益を得ている業者を処罰するほか、農家がアヘンに頼らないですむよう農村支援を充実させることなどを提言しています。