2009年9月8日(火)「しんぶん赤旗」
減益のなか株配当優先
給与は減少 内部留保は高水準
法人企業統計から
減益のなかでも、配当は重視―財務省がまとめた2008年度の法人企業統計から製造業大企業の姿が浮かび上がってきます。内部留保は高水準を維持していますが、従業員給与は減少が続いています。
法人企業統計をもとに、自動車、電機など資本金10億円以上の製造業大企業の推移をみてみます。1998年度を100とすると、経常利益は、06年度に271(2・71倍)と史上最高益を記録。07年度も268(2・68倍)と最高水準を維持した後、08年度に99(0・99倍)まで落ち込みます。08年9月の米大手証券破たんを引き金にした世界経済危機で、米国向け輸出が大幅に減少したことが響きました。
利益が減るなかでも、大企業は内部留保の水準は維持しようとします。内部留保の一部である利益剰余金は98年度比で、07年度が140(1・4倍)、08年度が121(1・21倍)です。雇用を維持する体力は十分あるのに、製造業大企業は08年後半から、「非正規社員切り」を競い合い、正社員の人員削減も本格化させていきます。正社員の給与(賞与含む)も削減傾向が続きます。
一方、減益のなかでも異常な扱いがされているのが、配当金です。配当金は98年度比でみると、06年度442(4・42)倍、07年度345(3・45倍)と急激に伸びます。08年度も270(2・7倍)。雇用や従業員給与よりも株主配当を重視する大企業の姿勢があらわれています。
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