2009年9月8日(火)「しんぶん赤旗」
入植地に新規住宅建設承認
拡大に4割「反対」
イスラエル ユダヤ系市民
イスラエルのバラク国防相は7日、ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地で新たに計455戸の住宅建設を承認する決定を下しました。同国政府は先に、同地区で入植地を拡大するとのネタニヤフ首相の意向を明らかにしていました。
ユダヤ人入植地は、イスラエルのパレスチナ占領を既成事実化するものとして、国連などは「違法行為」として撤去を求めています。入植地拡大凍結は、その第1段階として、ブッシュ米政権が2003年に提示した中東和平に向けたロードマップ(行程表)で確認されました。
イスラエルは、ロードマップに合意したにもかかわらず入植地拡大を継続。これに対してパレスチナ側は中東和平交渉再開の障害だとして凍結を要求し、オバマ米大統領も凍結を求めてイスラエル政府に圧力をかけています。ギブズ米大統領報道官は4日、「米国は継続する入植地拡大の正当性を認めないし、その中止を求める」と言及しました。
現地メディアは、イスラエル国内の全人口の約8割を占めるユダヤ系市民の4割と全人口の2割を占めるアラブ系住民が入植地拡大に反対、残り5割が賛成だとして世論の拮抗(きっこう)を指摘しました。ネタニヤフ氏側近の一人は、新規住宅建設が承認された場合、数カ月間、入植地拡大の凍結を検討すると述べており、入植地拡大反対派への「譲歩」も余儀なくされています。
一方、ネタニヤフ氏が所属する右派政党リクード内部の強硬派は、「党はネタニヤフ氏の決定のいいなりにはならない」と譲歩に反対しています。
イスラエル・パレスチナは2日、経済問題を焦点にイスラエル新政権発足後初の閣僚級会合を実施しました。今回のイスラエル側の入植地拡大承認がこれらの交渉にも影響を及ぼす可能性が指摘されています。(松本眞志)