2009年9月4日(金)「しんぶん赤旗」
七生養護事件
「学ぶ様子知って」
東京高裁 原告の教諭が陳述
東京都立七生(ななお)養護学校(現都立七生特別支援学校)の性教育に一部都議と都教育委員会が介入したことに対して、当時の同校教員と保護者31人が教育の自由の侵害だとして損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、第1回口頭弁論が3日、東京高裁で行われました。
原告の一人で意見陳述をした養護教諭(52)は、同校の性教育に中心的な立場でかかわってきました。「七生養護学校は知的障害をもって生まれたうえ、虐待を受け育児放棄で捨てられたり、保護者が不明だったりと複雑な事情を背負った子どもも多い」と陳述。「学校の実態も知らないで、一方的に不適切と決め付けた都議や都教委の行為、十分な取材もせず事実に反する内容をセンセーショナルに報道し、多くの人たちを傷つけた産経新聞の行為は許されるものではありません」と涙ながらに訴えました。
原告の女性(53)は、独自の教材を使った授業風景を映像で流しながら陳述しました。
女性は独自教材「子宮体験袋」を使った授業について、ネグレクト(育児放棄)された小学部3年生が、「ぼくも赤ちゃんになってみたいな」というつぶやきから生まれたものだと説明。「この授業は『生まれるときには自分も頑張ったんだ』と、子どもたちの自信にもつながった。授業で教材がどう使われ、学ぶ子どもたちがどんな様子だったのか知ってほしい」と訴えました。
原告弁護団は閉廷後に報告集会を開きました。原告代理人の中川重徳弁護士は「一審は子どもの姿を前に教育の本質を評価してくれた画期的なものだった。教育の自由への侵害や不当な介入を認めず、実践の正しさをわかってもらうために、これからも頑張ろう」とあいさつしました。
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