2009年9月4日(金)「しんぶん赤旗」
主張
新型インフル
感染拡大のピークに備えよ
子どもたちが期待に胸を膨らませて迎えた新学期の学校が、新型インフルエンザの集団感染で、学級の閉鎖や休校に追い込まれています。
厚生労働省のまとめでも、8月末の1週間での集団感染は1330件にのぼっています。感染は子どもたちだけでなく、全国で増え続けており、沖縄や兵庫、愛知などでは死亡する例も相次いでいます。感染拡大のピークに備え、感染拡大と重症化を防ぐ対策が急いで求められています。
早ければ9月下旬にも
新型インフルエンザの感染者は、例年インフルエンザの流行が下火になる真夏でも広がり続け、8月半ばには流行期に入ったと見られています。厚生労働省の見通しでは、毎年の季節性インフルエンザの2倍程度にあたる国民の2割が発症した場合、ピーク時には1日あたり76万2000人が発症、4万6400人が入院するとしています。現在の流行がピークを迎えるのは、9月下旬から10月上旬以降と見られます。
新型インフルエンザは多くの人に免疫がなく、一気に広がるのが特徴です。感染が広がりにくいといわれる夏場に流行が始まったのもそのためで、そのうえこれからは、例年でもインフルエンザの感染が広がりやすい時期です。
新型インフルエンザは、一般に症状が軽いといわれているものの、子どもたちが感染しやすく、ぜんそくや糖尿病など基礎疾患がある人や妊婦は重症化しやすいとされており、死に至る危険は季節性のインフルエンザよりかなり高いというのが専門家の見方です。
さしあたって重視されるのは、学校などでの集団感染を防ぐことです。うがいや手洗いに心がけるとともに、感染が発生した場合の拡大を防ぐには、学級閉鎖や休校も必要になります。そのさい重要なのは、親や家族の負担軽減にも対策をとることです。臨時の保育体制や企業に休みを保障させるなど、親の負担にも気を配り手を打つことは、行政の責任です。
懸念されるのは、急速な感染拡大に見合った医療の体制です。新型インフルエンザに対応したワクチンは生産が始まったばかりです。治療薬はタミフルなど既存の治療薬が有効だと厚生労働省はいいますが、重症化が予想される人には早めに見極め、早期治療をおこなう体制が不可欠です。
新型インフルエンザの感染者とともに一般の患者も受け入れる医療機関で感染が広がらないようにする体制も心配です。重症者のためのベッドや人工呼吸器などの準備も十分か。これまで経験したことのない感染の規模と速度に見合った体制が必要です。
健康保ち、悪ければ休む
新型インフルエンザの予防には、日常生活でのうがいや手洗いが有効だとされています。発熱などの症状が出た場合は外出を控える、せきによる感染を防ぐためにマスクを着用し、エチケットを守るなどは常識でしょう。
前提になるのは、普段から健康を整え、具合が悪いときには気軽に休めるようにすることです。
「過労死」するほど働かされ少々の熱ぐらいでは休めないとか、「非正規」の労働者が具合を悪くして休んだら首になったなどというのは絶対に許さない、社会的な環境をつくっていくのも重要です。
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