2009年9月3日(木)「しんぶん赤旗」
無保険 生活苦 急増
アメリカ青年「失われた10年」
労働総同盟産別会議(AFL・CIO)報告
【ワシントン=西村央】全米最大のナショナルセンター、米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)は1日、1999年以来10年ぶりに青年労働者の実態に関する報告書を発表しました。「失われた10年」と題したこの報告は、35歳未満の労働者に占める無保険者の比率が10年間で24%から31%に急増したこと、生活の窮状を訴える労働者の比率が増加したことなど、若者の経済環境が悪化していることを明らかにしています。
日常生活が維持できない
クリントン政権末期から、ブッシュ政権の8年間をはさんだこの10年間で、「若者の経済基盤だけでなく、将来に向けた見通しも失われた」と指摘。「今後5年を見通した場合、自分の経済・金融面の目標を達成できるか」との問いに対し、99年は77%が「期待と自信を持っている」と回答していたのに対し、今回は55%に減少しています(グラフ1)。
収入で日常生活が維持できないという人が増えており、経済基盤の弱まりを示しています。「日常生活の支払いができ、多少の余裕がある」との回答は31%にとどまり、10年前の53%から大きく後退。「基本的な生活費をまかなうことができない」との回答が24%に上っています(グラフ2)。就職しても3人に1人が親と同居し、年収では半数以上が3万ドル(280万円)以下となっています。
若者にとって経済が破たん
18歳から34歳までの青年労働者と35歳以上の労働者を比べると、正規雇用の割合は64%と78%、年金や退職後の保障がある人は47%と74%、医療保険のある人は68%と88%で、それぞれ大きな差が付いています。
報告書発表にあたって、AFL・CIOのスウィーニー議長は「ことに若い世代には、次の世代を繁栄へと導くための手立てが与えられなければならない。今回の調査結果が示しているように、わが国経済は若者にとって破たんしており、手を打たなければ彼らを危険にさらすことになる」と述べています。
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