2009年9月2日(水)「しんぶん赤旗」
アフガン戦争
「戦略見直し必要」
駐留米司令官が戦況報告
【ワシントン=小林俊哉】アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官は8月31日、戦況を精査した報告書をまとめ、ゲーツ国防長官らに送付しました。北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長にも送付しました。
アフガンでは米、NATO軍兵士の死傷者が増加の一途。米国と同盟国内で戦争への疑問が強まり、泥沼化している状況を転換させる戦略を求める声が高まっていました。
報告書は機密とされ、公表の予定はありません。カブールからの報道によると、マクリスタル司令官は同日、声明を発表し、「アフガンの状況は深刻ではあるが、成功は達成できる。そのためには、作戦の遂行戦略を見直すことが必要だ」と主張しました。
ゲーツ国防長官は視察先の米テキサス州で、報告をまだ読んでいないとした上で、「報告はわれわれが改善できる余地がある分野を指摘するものだ」と指摘。「今後も厳しいたたかいとなることは疑いの余地がない」と述べました。
アフガンには現在、6万2千人の米軍が駐留。NATO軍も3万9千人に上っています。同報告でマクリスタル司令官が新たな増派を求めるとの観測が流れていましたが、米メディアによれば今回の報告に新たな増派要求は含まれていないといいます。報告を踏まえ、駐留規模など今後の方策についての議論が始まる見通しです。
ギブズ米大統領報道官は同日の記者会見で「今回の報告は、われわれがどこまで達成し、何を改革しなければならないかについてのものだ」と指摘。駐留規模などの資源投入について国防総省側から提言を受けるのは、数週間先になるとの見通しを示しました。