2009年8月31日(月)「しんぶん赤旗」
統一協会の会長交代
相次ぐ霊感商法への刑事摘発
批判かわす狙い
統一協会(世界基督教統一神霊協会)が徳野英治会長(54)を解任し、12代会長に梶栗玄太郎元国際勝共連合理事長(72)が就任しました。霊感商法に対する刑事摘発が相次ぎ、司法の追及や社会の批判をかわす狙いだと見られています。
幹部らが起訴
大学原理研(統一協会の学生組織)出身の徳野前会長の就任は08年5月。霊感商法に対する刑事捜査は前年10月ごろから始まっていました。
沖縄、長野、埼玉、大阪、新潟、福岡の府県警察がダミー組織である販社(霊感商法の店舗)を強制捜索。今年6月には警視庁公安部が東京の教団施設や販社の「新世」を強制捜索し、同社と幹部らが特定商取引法違反(威迫・困惑)で起訴されるという事態になり、そのさなかの会長交代でした。
徳野前会長は会見(7月13日)で「道義的責任をとる」と述べています。
政界人脈活用
梶栗新会長は政治部門の国際勝共連合理事長を長期間務め、「世界日報」社長、スパイ防止法制定国民会議役員を歴任後は第一線を退き“回想録”も出しており、いわば「過去の人」の再起用。刑事摘発が続くなかで、同氏が培ってきた政界人脈活用に迫られた、との見方もされています。
徳野前会長は在任時、霊感商法や違法伝道は信者の個人的な行為としつつも、「誤解されるような行為がないよう」との文書を出し、街頭勧誘などの活動を一時停止しました。
一連の動きについて全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士は「日本統一協会の実権を握っているのは文鮮明教祖が派遣した韓国人幹部たち。日本人幹部の人事は表面的な批判回避策だろう」と指摘。街頭勧誘などの一時停止も「信者にし、その財産を奪うための入り口であり、何らかの形で復活せざるを得ないのではないか」と語っています。