2009年8月29日(土)「しんぶん赤旗」
外交・安保でも「建設的野党」こそ
衆院選直後に重要国際会議
日米間の懸案も大きなヤマ場
30日投開票の総選挙で争点のひとつになっている外交・安全保障問題―。総選挙直後の9月には一連の重要国際会議も開かれ、日米間の懸案を中心にさっそく大きなヤマ場を迎えます。民主党中心の政権が誕生する可能性が増すなか、憲法9条を生かす自主・自立の外交を目指す「建設的野党」としての日本共産党の役割が、いよいよ重要になっています。
9月下旬には、米国で、地球温暖化問題での首脳級会合、国連総会の一般討論、安保理核軍縮拡大会合、主要20カ国・地域金融首脳会議(G20金融サミット)が相次いで開かれます(表)。その際に新政権発足後初めての日米首脳会談が想定されています。11月半ばのオバマ米大統領来日も調整されています。
核持ち込み密約
日米首脳会談で焦点の一つとなるのが、日米核密約や非核三原則に関連する核兵器持ち込み問題です。
日本共産党の志位和夫委員長は23日の民放番組の党首討論で、日本への寄港を繰り返している米攻撃型原潜は核弾頭付き巡航ミサイル・トマホークを積み込める態勢をとっており、核密約は今も続いている問題だと指摘。「(核密約を)公開、廃棄し、(非核三原則の)『持ち込ませず』を文字通り実現し、非核の日本にする」ことを強く求めました。
これに対し民主党の鳩山由紀夫代表は核密約について「アメリカに行って事実を調査し、しかるべきタイミングで国民に説明する」と表明。「(核兵器を日本に)持ち込ませないよう(オバマ大統領に)OKさせるまで頑張る。オバマ氏を説得する」と約束しました。
マスコミ関係者も「志位さんの追及で鳩山さんが約束をした。本当に(そういう方向で)政治を変えたい」と期待を語ります。
米軍基地
日米両政府は7月、日米安保高級事務レベル協議(SSC)を開き、在日米軍再編計画の「着実な実施」で合意しています。
これに対し民主党は、マニフェスト(政権公約)で「対等な日米同盟」を掲げ、米軍再編や在日米軍基地を見直す方向で臨むとしています。沖縄の基地負担の象徴である米軍普天間基地の問題では、鳩山氏は23日の党首討論で「県外(移設)が望ましい」との考えを示しました。
しかし防衛省幹部は「アメリカと再交渉といっても着地点が難しい」と述べ、否定的です。
在日米軍再編計画の土台には、普天間基地など沖縄の米軍基地の「県内たらい回し」を決めたSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意があります。志位氏は同じ番組で、基地の無条件撤去の立場から、SACO合意を白紙に戻すよう米側に提起すべきだと強く求めました。
鳩山氏は「大統領との間の信頼関係のなかで、その必然性が出てくるかどうかだ」と述べ、SACO路線と決別する立場を示しませんでした。
インド洋派兵
自衛隊の海外派兵問題では、インド洋での米軍艦船などへの給油活動を継続するかどうかが当面の大きな焦点です。
鳩山氏は「すぐに撤退というよりも、(新テロ特措法の期限が切れる来年)1月までの間に、十分にオバマ大統領との間の信頼関係を構築するなかで、新しい、より好まれる支援を考えていく」(11日)と述べています。
しかし「(自衛隊による)給油活動というのは、米軍などがやっている戦争行為の支援活動ですから、憲法違反」(志位氏、同日)の活動です。即時撤退を求める立場にたつことこそが求められています。(榎本好孝)
衆院選後の主な国際会議
9月22日 地球温暖化問題に関する国連首脳級会合
23〜30日 国連総会一般討論
24日 核不拡散と核軍縮に関する国連安保理拡大会合(オバマ米大統領主催)
(以上、米ニューヨーク)
24・25日 主要20カ国・地域金融首脳会議(G20金融サミット)
(以上、米ピッツバーグ)
11月14・15日 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(シンガポール)