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2009年8月28日(金)「しんぶん赤旗」

主張

財源の不安

消費税増税の防波堤を大きく


 総選挙は最終盤の大激戦に突入しています。

 暮らしと経済をめぐる論戦を通して、自民、民主の財源案への国民の不安が鮮明になっています。自民、民主のいずれに対しても、公約を実現するための「財源に不安を感じる」人は8割を超えています(18日付「朝日」)。

 「不安」の根本にあるのは、暮らしを痛めつける消費税増税への切実な「不安」です。

民主党の財源案では

 自公両党は、ことあるごとに野党の財源論を批判してきました。

 しかし、軍事費を増やし、大型公共事業や大企業・大銀行応援の大盤振る舞いで、首が回らないほどの借金をつくってきたのは自公政府です。「責任力」だと言って打ち出している消費税増税は国民への失政のツケ回しにすぎず、反省のかけらもない自公が、こんな財源論を国民に押し付けるなど許せません。自公には野党の財源論を批判する資格はありません。

 一方、民主党の鳩山由紀夫代表は、4年間は「消費税を増税する必要がない」とのべていますが、新たな年金財源として「消費税を充てたい」と明言しています。

 何より、民主党は消費税を「公平で透明」(古川元久年金調査会長)、「広く薄く負担する考え方はあるべき姿だ」(五十嵐文彦元衆院議員)と積極的に評価しています(国会答弁、2004年)。民主党政権が続けば、いずれ消費税増税に行き着くことは明白です。

 民主党は、当面の必要財源としている16・8兆円のうち無駄遣いを正して9・1兆円、「埋蔵金」で5兆円、税制見直しで2・7兆円を生み出すとしています。

 使えばなくなる「埋蔵金」を恒久的な施策に投入することは、消費税など庶民増税につながる恐れを強くします。配偶者控除や扶養控除を廃止して「子ども手当」を創設する税制見直しでは、600万世帯が負担増になります。

 しかも、無駄遣いを削るとしている対象のほとんどは「補助金」で、その大半を地方財源、社会保障と教育の予算が占めています。これでは、地方と暮らしの予算を削ることになってしまいます。

 民主党の財源案が実行されれば暮らしに大きな打撃を与え、実行されなければ借金を膨らませて財政危機をさらに深刻にします。いずれも出口は消費税の増税です。民主党の財源案を見れば見るほど国民の「不安」は広がらざるを得ません。

 無駄遣いを正すというなら、最大の無駄遣いである5兆円の軍事費を除外する道理はありません。2800億円の米軍「思いやり予算」やグアムの米軍基地建設費、海外派兵経費などを削れば、新たに1兆円の財源を生み出せます。

 税制では、大企業・大資産家への年間7兆円に上る「行き過ぎた減税」を正すべきです。

日本共産党の前進こそ

 「財源と言えば消費税」の紋切り型に陥るのは、この二つを「聖域」にしているからです。「聖域」に切り込むなら、暮らしと経済に計り知れない打撃を与える消費税増税に頼る必要はありません。

 各党の論戦を通じて浮き彫りになっているのは、二つの「聖域」にメスを入れる財源論を堂々と主張し、消費税増税のしっかりした防波堤である日本共産党の前進こそ、財源の「不安」をなくす確かな保証だということです。



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