2009年8月26日(水)「しんぶん赤旗」
国連が48項目の懸念・勧告
放置できない 女性差別
民法改正、賃金・雇用での是正
共産党は一貫して主張
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の女性差別の現状について、48項目の懸念・勧告を含む「総括所見」を公表しました。日本共産党は、総選挙政策で、「世界でも異常な女性への差別をなくし、『両性の平等』を社会に徹底します」と訴えています。女性差別を放置してきた自民・公明政権を退場させたあとの新しい政治では、国連の勧告の実行が焦点課題となります。
日本共産党は、いっかんして、「女性差別の面で、国際条約に反するおくれた実態が、社会生活の各分野に残って、国際的な批判をうけている」(党綱領)と問題にしてきました。総選挙政策でも、女性差別撤廃条約の原則にもとづいて、「両性の平等」を社会に徹底することを掲げています。
今回の女性差別撤廃委員会の勧告にもりこまれた課題でも、解決策を出しています。
たとえば、民法の改正です。
共産党の政策は、「選択的夫婦別姓制度の実現、再婚禁止期間・婚姻最低年齢の見直し、婚外子差別の禁止をすすめます」とのべています。
また、賃金をはじめ雇用問題でも、「企業の女性差別や不利益扱いを許さず、差別是正のための法改正をすすめる」ことを提起。労働時間の短縮、育児・介護休業法の改正、国と自治体の責任による保育の拡充など、「女性も男性も仕事と家庭の責任を果たせるよう社会的援助を強める」と訴えています。
政策・意思決定機関への女性の参加の促進も掲げています。
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*「正規雇用者の男女賃金格差」のデータは、2006年の指標をOECD(経済協力開発機構)が08年にまとめたもの。 *「管理的職業従事者に占める女性の割合」のデータは、日本07年、マレーシア03年、イギリス・フランス05年、その他は06年。出典は、内閣府のパンフレット『男女共同参画社会の実現を目指して』。 |
「進展が遅い」政府も認める
女性差別撤廃委員会の総括所見は、男女間の賃金格差が大きいこと、雇用や政治、公的分野に女性の参画が遅れていること、夫婦同姓の強制や結婚最低年齢の男女差など民法に差別的規定があること―などを指摘し、改善を求めました。とくに、これまでの委員会の是正勧告が実施されていないとして、日本政府の対応に不満を表明していることが特徴です。
政府自身も、日本の現状を審査した委員会(7月23日)で、「国際的にみると、我が国の男女共同参画の進展が遅いことは残念ながら否めません」(自民党・南野知恵子参院議員)と認めています。女性団体は政府のとりくみの遅れを「政治的意思の欠如」(女性差別撤廃委員会へのリポート)と指摘してきましたが、自民・公明政権の退場こそ、女性差別撤廃を前に進める一歩です。
仕事と家庭 両立ルールを
新日本婦人の会 高田公子会長女性差別撤廃委員会の勧告は、世界でも異常な女性差別を告発しており、自民・公明政権が女性の地位向上に無策であったことを示しています。
各地を回って、日本には、女性にも男性にも仕事と家庭を両立できるルールがないと改めて実感しています。ある職場では、「派遣切り」をする一方、正社員も残業が減り、賃下げに加え、仕事をこなすために、朝早く出勤していると聞きました。朝は保育の体制をとりにくく、退職せざるをえない女性も出ているといいます。こんな場合、母子家庭ではいっそう深刻です。
総選挙では、子育て支援が争点になっていますが、経済的負担の軽減とともに、仕事と子育ての両立や、子どもの貧困の解決など、“子育てがしにくい”という日本社会のあり方への総合的なとりくみを提案しているのは、日本共産党ですね。
女性差別撤廃条約は、母性の社会的役割を重視し、子育ては男女と社会全体の共同責任だといっています。安心して子育てしやすい社会にするという共産党の政策は、女性差別撤廃にも通じるものがあります。
民主主義と人権の柱に、「両性の平等の徹底」をかかげている共産党の前進に心から期待します。
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