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2009年8月26日(水)「しんぶん赤旗」

ブラジル 週40時間労働へ着手

300万人の雇用創出

賃下げなし 法案を上程へ


 ブラジルのルラ政権はこのほど、経済と雇用情勢の好転を受け、長い間の懸案だった労働時間の短縮に着手する方針を明らかにしました。この措置で300万人の新規雇用の創出が見込まれています。産業界の反対は強いものの、労働組合の後押しで、今週下院に法案が上程される見通しです。(田中靖宏)


 労働時間短縮の提案は、ルピ労働・雇用相が18日のロイター通信とのインタビューで表明。週労働時間を、賃下げなしで現行の44時間から40時間に短縮し、時間外手当の割り増し率を現在の50%から75%に引き上げるという内容です。

 ルピ労相は、背景として雇用情勢の改善をあげました。それによると失業率は6月の8・1%から、7月は7・9%台に好転。実質の雇用者数が6カ月間連続で増加しました。同相は「ブラジルも近代社会に向けて前進する必要がある。労働時間が減れば生産性も上がる」と強調しました。

 新興国の一員として順調な成長を続けてきたブラジル経済は、昨年の世界金融危機で打撃を受けました。しかし2003年以来の労働党政権下で内需中心の経済に力をいれてきたことで、政府は「金融危機の影響を最小限にとどめることができた」と自負しています。

 ルラ大統領は7月、「世界に先駆けて金融危機を脱した」と宣言。マンテガ財務相は今月初め、「年間4%の成長を達成できるリズムを取り戻した」と述べました。

 労働時間の短縮はこの14年間、国政の課題になりながら、産業界の抵抗で成立が遅れていました。ブラジルでは露天商など非正規部門の労働が多く、提案されている時短で300万人の雇用が増えると専門家はみています。

 ただ経済界は「労働コスト上昇で国際競争力が低下する」(全国工業連盟)と強く反対。これに対し労働統一本部(CUT)など主要労組は、街頭デモなどで法案推進を要求しています。



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