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2009年8月25日(火)「しんぶん赤旗」

民主公約の日米FTA

“農業抜き”はありえない


グラフ

 日本農業に大打撃を与えることが必至の米国との自由貿易協定(FTA)やオーストラリアとの経済連携協定(EPA)が総選挙の重要争点の一つになっています。民主党は、「日米FTAの交渉を促進する」と公約しつつ、農業を守ると主張しています。農産物抜きの日米FTAが可能であるかのような民主党の言い分は、日米FTAへの強い反発に対する苦し紛れの弁明にすぎません。

“全分野対象”

 世界最大の農産物輸出国の米国は、日本にとっても最大の農産物輸入相手国です。2008年の日本の農産物輸入額は5兆9821億円にのぼり、その32・5%を米国が占めます(08年度「農業白書」)。08年の米国からの輸入額では、肉類、穀物類、野菜、果実、原料用大豆だけで全体の18%を占めます(08年分貿易統計確報)。

 日本が輸出競争力を持つ鉱工業製品の関税はすでにかなり低くなっています。他方、農産物の平均関税率は、日本の11・7%に対し、米国は5・5%です。日本で高関税が実施されているのは、コメの490%など一部の品目にすぎません。

 ですから、日米FTAでコメを含む農産物が標的にされることは明らかです。実際、07年2月16日に発表された「日米同盟に関する報告書」(第2次アーミテージ報告書)は、「農業は、コメを含む全分野が交渉対象となる米日FTAの中心部分になりうるし、ならなければならない」としています。

財界から要求

 農業を含むFTAは日米財界の要求でもあります。日米財界人会議の共同声明(08年10月7日)も、日本経団連アメリカ委員会と在日米国商工会議所の共同声明(7月21日)も、「FTAプラス」の協定として日米EPAの締結を求め、その非関税措置の対象に農業を含めています。

 民主党もこうした事情を承知のはずです。『週刊東洋経済』8月8日号は、「民主党の藤末健三・FTA戦略小委員会事務局長は、3年前、USTR(米通商代表部)課長から告げられた言葉が忘れられない」として、「農業の問題を解決しないかぎり、日本とはFTAの議論はできない」という発言を紹介しました。

 日本共産党の志位和夫委員長は17日、日本記者クラブでの党首討論で、民主党の鳩山由紀夫代表に対し「農業、コメ抜きの(日米)FTAはありえない」「交渉に入っていくべきではない」と求めました。また、日豪EPAを交渉中の自公政権についても20日、札幌での記者会見で、「率直に言って(日米FTAの)『防波堤』になりえない」と指摘しました。(北川俊文)



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