2009年8月25日(火)「しんぶん赤旗」
後期高齢者医療制度
存続するほど痛み増す
共産党伸ばし廃止実現
総選挙のなかで、75歳以上の高齢者の医療を差別する後期高齢者医療制度について、与党側は「廃止したら混乱する」などと存続に固執しています。
しかし、舛添要一厚労相ですら一度は「うば捨て山行きのバス」だと認めたように、同制度は根本的な欠陥をもった制度です。存続させればさせるほど、国民に深刻な被害を広げます(別項)。
政府・与党は保険料の軽減策や年金からの保険料天引きの「選択制」などでごまかそうとしていますが、「うば捨て山」の本質は何ら変わりません。
政府・与党が、後期高齢者医療制度の存続に固執するのは、「団塊の世代」が高齢化する時期に向けて医療費抑制の装置を備えておきたいからです。存続が長引くほど、組み込まれた仕組みが働いて国民を襲います。自公には総選挙で厳しい審判を下し、一刻も早く廃止する必要があります。
民主党は同制度の廃止を掲げています。ただ、マニフェストで「順次実施」の項目に入れるなど、時期が明確になっていません。同制度の原型が姿を現した当初(2000年11月)から唯一反対を貫いた日本共産党を伸ばすことが、廃止実現の一番確かな力です。
日本共産党は、後期高齢者医療制度を廃止したあとは、以前のように老人保健制度に戻すことを提案しています。減らされてきた国庫負担を元通り増やして高齢者医療をしっかり支え、75歳以上の窓口負担は無料化しようと訴えています。
存続すればこれだけの害悪
▽上がる保険料 法律で2年ごとに引き上げを決める。来年4月にまず実施。75歳以上の人口増に応じて保険料を上げるため際限ない引き上げに。
▽医療の制限も拡大 患者が担当医を1人選ぶと、どんなに検査や診断をしても担当医には一定額(現在毎月6000円)しか支払われない仕組み。将来、投薬や手術にも拡大することも検討。
▽メタボで「罰則」 40〜74歳の「メタボ健診」にもとづく「罰則」も始動。受診率やメタボ改善状況が悪い保険者は「医療費を増やした」とみなされ、後期高齢者医療制度への支援金を増額。