2009年8月22日(土)「しんぶん赤旗」
自公政権
コメ輸入拡大を容認
WTO交渉 110〜119万トンへ
自民・公明政権が、現在行われているWTO(世界貿易機関)ドーハ・ラウンド交渉で、現行の年間77万トンの輸入米(ミニマムアクセス米)について、110万〜119万トンへの拡大方針を容認していることが、本紙調査でわかりました。この方針が実施されれば、日本農業に大きな打撃を与えます。
今回の総選挙政策では自公両党とも同交渉の「早期妥結」を掲げています。日本共産党はこうした方針と対決し、WTO農業協定の根本からの見直しや、ミニマムアクセス米の「義務的」輸入の中止などを掲げています。 同交渉での方針が、総選挙の重大な争点に浮かび上がっています。
農水省の担当者は、同交渉での日本政府の方針は、輸入米の拡大を前提にしたもので、いかに拡大幅を低く抑えるかというものだと強調。「わかりやすくいえば、いかに負けを少なくするかという交渉だ」(国際経済課)と話します。
農水省はこの方針を踏まえ、今年3月末に公表した「ミニマム・アクセス米に関する報告書」で、これからのWTO交渉に臨む日本政府の方針を説明。
その中で、ミニマムアクセス米について、輸入量の現状維持(その代わり枠外関税の大幅削減を認める)という選択肢と、枠外税率削減の緩和幅に応じた3つの拡大輸入量の選択肢を示し、「合計4つのパターンのいずれかを選択することになっています」と明記。輸入量削減・廃止は選択肢にありません。
その「4つのパターン」の数字を問い合わせたところ、農水省は(1)77万トン(2)110万トン(3)114万トン(4)119万トン―と説明します。(表参照)
今後のWTO交渉は総選挙直後の9月3〜4日、インドで非公式閣僚会合が予定されています。
枠外税率 ミニマムアクセス米以外のコメ輸入(枠外輸入)を規制するために、それにかける高い関税の税率のこと。ミニマムアクセス米の輸入については、その輸入量の枠(現行年間77万トン)を設け、その関税を無税、あるいは低くしています。ただし、枠外税率を大幅に下げると、関税をかけても枠外輸入のコメの方が安くなって、枠外でも輸入が無制限に拡大する恐れが出てきます。
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