2009年8月22日(土)「しんぶん赤旗」
民主党さん ここが不安です
自公政権退場は当然だけど、民主党にも不安が残る―そんな有権者が広がっています。全国紙も世論調査結果から、「有権者による『政権交代願望』の強さは情勢調査結果でも表れたが、それが民主党の政策や政権運営への期待の反映とはいえないようだ」(「朝日」21日付)と指摘します。民主党の公約のうち、国民が不安に思い、危うさを感じている問題をみてみました。
日米FTAの交渉に入る気ですか
民主党が公約に掲げているアメリカとのFTA(自由貿易協定)の「交渉促進」に不安を感じませんか。
関税の撤廃、輸出入の自由化を内容とするFTAを結べば、アメリカの農産物が日本に流れ込みます。試算によるとコメの生産は82%も減少するといわれています。文字通り、日本の農業は壊滅的な打撃を受けます。世界的に食料不足が問題になっているいま、食料自給率の向上を図るのは当たりまえです。なのに、その逆をいくのですから、きびしい批判や不安の声があがるのは当然です。
民主党の代表は「農産物は除外する」などと述べています。しかし、アメリカは「率直に言いますと、米国は農業を含まない自由貿易協定は結びません」(米駐日大使、2008年4月4日)と明言しています。すでにアメリカからの輸入品のうち工業製品は関税が低くなっているのですから、農産物を除外した日米FTA交渉はありえません。
日本共産党は、日米FTA交渉にはきっぱり反対し、当面、自給率50%台への回復をめざします。価格保障と所得補償を組み合わせて持続可能な農業経営にすることなど、農業再生プランを示しています。
「子ども手当」はいいけど、増税が心配です
民主党は、中学卒業まで子ども1人あたり月2万6000円の「子ども手当」を支給すると公約しています。日本の児童手当は現在、小学校卒業までで、子ども1人あたり5000円。欧州に比べて低い水準ですから、「手当」は多いにこしたことはありません。
ところが、世論調査では民主党の「子ども手当」を「評価しない」人が55%に上ります。民主党の「財源に不安を感じる」も83%に達します(18日付「朝日」)。
「手当」が配偶者控除と扶養控除の廃止という庶民増税とセットだから不安なのではないでしょうか。
中学生までの子どもがいない家庭で負担増となるのは、民主党の見積もりより多くて全体の12%の600万世帯に及びます。増税の平均額は年間7万円です。
子どもを持たない、持てない家庭への事実上のペナルティーになることにも批判の声が上がっています。
日本共産党は現行の児童手当を1万円に引き上げるという現実的な提案をしています。財源はムダな軍事費と大企業・大資産家へのゆきすぎた減税という「二つの聖域」にメスを入れてつくります。
「子育て支援」は、やっぱり増税の心配のない、安心できるものがいいですよね。
憲法改定にふみだすつもりではありませんか
民主党が政権を取ったら憲法改定にふみ出すのではないか、こんな不安を持つ人も少なくないのではないでしょうか。
なにしろ、鳩山由紀夫代表は改憲論者で2005年に「新憲法試案」を発表。憲法9条2項を「最も欺瞞(ぎまん)的」と攻撃し、「自衛軍保持」を明記しました。今回の総選挙での同党候補者の62%が改憲に賛成しています(「読売」13日付)。
総選挙の公約では、「現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任を持って提案していきます」としています。
岡田克也幹事長は「(憲法問題の)優先度は低い」と発言していますが、来年は、改憲のための国民投票法が施行されます。改憲派はこれを機に改憲への機運を高めようとしています。
そんなときだけに、9条改悪にしっかりと反対を貫く日本共産党が、「防波堤」の役割を果たすことが重要ではないでしょうか。
民意切り捨ての比例定数削減を本当にやる気ですか
憲法9条改悪反対は国民の多数の声ですよね。消費税増税反対も同じです。この国民多数の声が国会に届かなくなったらどうでしょう。
民主党が公約に掲げている「衆院比例定数の80削減」はまさにこうした事態を招く暴挙です。
現在の衆院議員の選挙制度は、小選挙区300と比例代表180を組み合わせた「並立制」。多様な民意を「反映」する比例を削れば少数政党は議会から締め出され、自民、民主の「二大政党」で、議席が独占されます。2年前の参院選の結果をあてはめると、自民・民主の両党は95%の議席を独占します。
ところが両党とも、9条改定、消費税増税を掲げています。ですから国民多数の声が届かなくなるのです。
日本共産党は、こんな議会制民主主義破壊の暴挙には、正面から立ちはだかって、「防波堤」の役割を果たします。
高速道路無料よりお金をまわすべき所があるのでは
民主党は、高速道路無料化をマニフェストに掲げていますね。同党は、1・3兆円かかると試算しています。これだけの税金を、「無料化」に注ぎ込むことに違和感はありませんか。
日本共産党は、無料化に1・3兆円使うのであれば、社会保障や教育の充実にまわすほうが、適切な税金の使い方だと考えます。1・3兆円あれば日本共産党が掲げる「75歳以上の高齢者と子どもの医療費無料化」が実現できます。
自公政権によって国民生活がズタズタにされた今、優先すべきは高速道路の無料化ではなく、国民生活を直接応援する社会保障の充実ではないでしょうか。
問題点はほかにもあります。現在は、高速道路の料金は旧道路公団の借金返済にあてられていますが、無料にすれば、その分まで国民の税金で肩代わりすることになります。
さらに、環境に与える悪影響もはかりしれません。「1000円乗り放題」によって春の大型連休2週間だけでCO2の排出量は66万トンも増加したと指摘され、環境NGO(非政府組織)からは「無料化」撤回要求が上がっているほどです。
税金の使い道は、やっぱり考えどころですね。
4年後には消費税をあげるのですか
どうして財源といえば、消費税増税ばかりなのか――こんな疑問を持ちませんか。
民主党の鳩山由紀夫代表は、2年後の消費税増税をめざす自民・公明両党を「借金地獄の果ては消費税増税」と非難しています。
でも、民主党も「4年間は上げない」というだけ。結局は年金などの財源として消費税を増税する立場です。鳩山氏自身、「消費税をいつまでたっても上げないで済む日本ではない」と明言しています。
消費税は所得の少ない人ほど負担が重くなる「福祉破壊税」「景気破壊税」です。いくら「生活第一」を掲げても、いずれ消費税増税が待っているのでは安心できないのではないでしょうか。
これらの党が財源といえば消費税に行き着くのは、軍事費と大企業・大資産家へのゆきすぎた減税という「二つの聖域」に切り込む立場がないからです。
日本共産党は消費税増税にきっぱり反対。「二つの聖域」にメスを入れれば12兆円の財源をつくれると訴えています。
アメリカではオバマ政権が富裕層へ10年間で100兆円の増税を計画。イギリスでも消費税の減税です。安心して消費税反対の声をあげましょう。
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