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2009年8月22日(土)「しんぶん赤旗」

主張

日米FTA

「入り口」での阻止が肝心


 農業破壊の自公政治を終わらせ、農業を再生させることが緊急に求められています。そのために「食料主権」を確立し、食料自給率を抜本的に引き上げるときです。

 選挙戦の焦点が自公政権退場後の政治のあり方に移るなか、民主党がアメリカとの「自由貿易協定(FTA)」の締結を打ち出したことが、農業者や消費者の不安を呼んでいます。民主党は批判に驚き、マニフェストで日米FTAの「締結」を「交渉を促進」と書き換えたものの、中身に変わりはありません。日本農業を破壊する日米FTAは許せません。

「ルールある経済社会」を

 黄金色に広がる田畑は国の豊かさを象徴しています。多くの国民が安心できる食料はもとより、豊かな環境や文化を世代を超えて受け継ぎたいと願っています。

 日本農業は「市場原理」むき出しの「ルールなき資本主義」に踏みにじられてきました。日本の食料自給率が先進国最低水準に低下したのは、工業製品の輸出拡大と引き換えに、農産物市場が次々に外国に開放され、輸入農産物が大量に流れ込んだためです。

 農業破壊の自民党農政の下で、農業は産業としてなりたたない瀬戸際に追いやられました。農業者は将来に展望が持てず、高齢化や耕作放棄地の拡大、農村の疲弊が進んでいます。消費者は「食の安全」に懸念を抱き、国産品を食べたいと思っているのに、輸入品に頼らざるをえないのが実情です。

 日本共産党は「ルールある経済社会」を築くことを旗印に掲げています。農業を基幹産業と位置づけ、輸入規制をはじめ、日本農業を守るうえで必要な政策をとれるようにすべきだ、との立場で「食料主権」を主張しています。

 日本共産党は低迷する食料自給率(41%=2008年)の50%台への引き上げを最優先課題としています。そのためには農業経営が成り立ち、農業者が安心して生産できる条件をつくることです。生産コストをカバーできる価格保障を実施して増産を促すとともに、農業者への所得補償を拡充して環境保全などの努力を支援します。

 民主党は日米FTAを促進するとしながら、自給率向上や農業振興を「損なうことは行わない」といいます。しかし、日米FTAと日本農業の振興が両立するとの説明はありません。それどころか、日米FTAが日本農業、とりわけコメ生産に壊滅的打撃を与えることは、米政府も日本の財界も認めています。

 日米FTAの交渉には足を踏み出さないことが肝心です。日本共産党の志位和夫委員長が「これは入り口で阻止することが決定的であり、交渉のテーブルについてしまったら、農産物抜きの出口はない」と強調している通りです。

自民に批判する資格ない

 自民党は民主党のマニフェストを非難し、「(日米FTAを)絶対に許しません」と宣伝しています。世界貿易機関(WTO)農業協定を受け入れ、不要なミニマムアクセス米を輸入し、日豪経済連携協定(EPA)に踏み出した自民党に、民主党を批判する資格などありません。

 日本共産党は民主党の政権でも、WTO協定の根本的見直しを求め、日本農業に重大な打撃をあたえるFTAには反対し、農業を守る「防波堤」として力を尽くします。



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