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2009年8月21日(金)「しんぶん赤旗」

主張

「タカ」派発言突出

自主自立の外交こそ平和の要


 総選挙が始まって麻生太郎首相の、「タカ」派ぶりを突出させた発言が目立っています。

 北朝鮮は「明確な脅威」だといい、「一番守らなければならないのは日本の安全」だと叫び、日米軍事同盟の強化や北朝鮮のミサイルへの対抗などを繰り返しています。軍事一辺倒の「タカ」派路線はあまりに異常です。北朝鮮の問題を政治的・外交的に解決しようとしている世界の流れに反し、日本を国際的に孤立させることは目に見えています。自公の政治を終わらせ、憲法9条を生かした自主・自立の平和外交へ転換することがますます急務となっています。

党利党略の売り込み

 麻生首相が選挙になって「タカ」派ぶりを突出させていることについて、一般のマスメディアでも「保守層固め」(「朝日」19日付)が狙いと指摘します。国民の批判をかわし、支持をつなぎとめるために「タカ」派路線を売り込み、まともな論戦を避けようとすること自体、党略優先で誠実さに欠けます。

 麻生首相が持ち出す、北朝鮮の「侵略」の危険などというのは、軍事的対抗を根拠付けるためだけの、まったく荒唐無稽(むけい)な言い分です。北朝鮮の核兵器やミサイルの開発は国際的な約束にも反した言語道断なものですが、国際社会はいま、国連や6カ国協議を舞台に北朝鮮の無法をやめさせるための政治的・外交的努力を重ねています。そのさなかに北朝鮮が「脅威」だからと軍事的にことを構えるだけでは、問題の解決を逆に難しくします。

 実際、麻生氏の口から語られるのは、北朝鮮船舶に対する自衛隊による貨物検査やアメリカと一緒になった弾道ミサイル防衛(MD)などといった軍事的対応ばかりです。国際社会とともに北朝鮮問題を政治的・外交的に解決するという目標さえ、口にしません。これでは、一致して北朝鮮問題の平和的解決をめざすという国際社会の取り組みを妨害し、軍事的緊張を高めることにしかなりません。

 麻生首相は、総選挙公示直前のテレビの党首討論では、憲法解釈を変えて「集団的自衛権」の行使を可能にするとまでいいだしています。「集団的自衛権」とは、日本が攻撃されなくても同盟国のアメリカが攻撃されれば反撃するというもので、政府はこれまで憲法上許されないと否定してきました。首相は米国向け弾道ミサイルの迎撃や公海上での米艦船の防護をあげています。文字通り、「日米軍事同盟絶対」で、日本を米国とともに戦争する国に変える危険な企てであり、こうした動きを絶対に許すわけにはいきません。

自公後の政治のために

 いま「日米軍事同盟絶対」の自民党政治のゆがみを根本からただすことが、いよいよ重要です。

 選挙戦は、自公のあとの政治をどうするのかが焦点になっています。民主党は「緊密で対等な日米同盟関係をつくる」といいますが、「日米軍事同盟絶対」から抜け出す立場がなく、安全保障や外交問題での論戦そのものを避けています。これでは民主党政権ができても、自民党政治を根本から転換することはできません。

 憲法9条を生かした自主・自立の平和外交をめざす日本共産党が伸び「建設的野党」の役割を果たしてこそ、政治のゆがみをただし未来を開くことができます。



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