2009年8月20日(木)「しんぶん赤旗」
新型インフル本格流行
病床削減改め 緊急整備を
新型インフルエンザが「本格的な流行」という新たな段階を迎えています。新型インフルエンザの重症患者の発生に対応できる医療体制整備は、緊急の課題となっています。
舛添要一厚労相は19日の記者会見で、「このまま感染が拡大すると、急激な患者の増加による医療機関への負担が増大し、重症患者への対応に支障がでるおそれがある」と語りました。
しかし、厚労省も認める医療体制の立ち遅れは、公立病院の「赤字」を口実に、「陰圧病床」(病原体を封じこめる感染症対応病床)が49床もあった国立病院機構南横浜病院を昨年12月に閉院するなど、「赤字」を口実にして地域医療拠点である国公立病院を切り捨ててきた自公政治がまねいたものです。
厚労省によると、今年3月末現在、589の感染症指定医療機関の病床数は1万606。2006年10月1日時点の1万3967病床から、3400病床近くも減りました。さらに、保健所も大幅に統廃合されています。
ところが、政府は「国民の一人一人が、感染は自分が止めるという気持ちをもって」(舛添厚労相)などと、病院閉鎖、病床削減をすすめてきたことに無反省な態度に終始しています。
国の責任で新型インフルエンザをはじめとする感染症治療体制を緊急に整備する必要があります。とくに、国公立病院の乱暴な切り捨てをただちに中止し、地域医療の拠点として支援を強めるべきです。(宇野龍彦)