2009年8月20日(木)「しんぶん赤旗」
主張
「成長戦略」
何より暮らしの土台を温めて
自民党と公明党が「与党には成長戦略があるが、野党にはない」と声高に主張しています。
雇用の規制緩和や減税の大盤振る舞いで輸出大企業を応援し、輸出を増やしてGDP(国内総生産)をかさ上げする―。これが、これまで自公政府が採ってきた「成長戦略」です。その「成長戦略」こそ、雇用と暮らしを破壊し、米国の消費バブル崩壊の影響を一段と深刻にした元凶です。
輸出頼みにしがみつく
麻生太郎首相は衆院選の第一声で、「日本には技術もある、若くて能力のある人もたくさんいる。どうやってその人たちの力と技術を伸ばすか、それが『成長戦略』の基本だ」とのべました。
実際に自公政府がやってきたのは、財界・大企業言いなりに派遣労働を原則自由化し、さらに製造業への派遣を解禁したことです。非正規雇用は若者の5割を占めるほど膨らんでいます。政府の後押しを受けた大企業のリストラは、経験を積んで技術を高め、働きがいを感じられる仕事から多くの若者を締め出しています。目先の利益と株価を最優先にしたリストラは、継承すべき技術や経験の断絶を生んで製品の品質を落とし、自動車の大量リコール(回収・修理)にもつながりました。
「成長戦略」どころか、その土台を壊してきたのが自公政治です。何より首相と自公には、その自覚と反省が必要です。
自民党は「内需と外需」の双発エンジンによる経済成長を掲げています。「10年で家計の手取りを100万円増やす」とも言っています。しかし、内需をどう立て直すのか、手取りをどう増やすのか、道筋はまったく描けていません。他方で消費税の大幅増税による国民の負担増だけは明確です。
見過ごせないのは、麻生首相が、大企業に応分の負担を求めることさえ「国際競争力を弱める」からできないと拒否していることです。自公の「成長戦略」の実態は、行き詰まりが明白になった「輸出頼み」に何が何でもしがみつくものでしかありません。
「成長戦略」の急先ぽうは竹中平蔵元総務相です。竹中氏は「消費税の増税は否定しない」とのべると同時に、「法人税率引き下げによる企業の競争力強化」を主張しています(6日付「毎日」)。与党の「成長戦略」の根幹が、家計を犠牲に大企業を応援する財界・大企業中心の路線にあることは明らかです。
財界にモノが言える党
経済危機で鮮明になった日本経済の最大の弱点は、経済の土台である内需・家計が極めてぜい弱だということです。人間らしく働くルールも、暮らしを支える社会保障も、自公政治がずたずたにしてきたからです。「輸出頼み」のゆがみを正して「内需主導」に転換してこそ、企業にも経済にも安定した発展の道が開けます。
日本共産党が主張しているように雇用をしっかり守る、社会保障を充実する、農業や中小企業を支援することで国民の購買力を高め、内需を豊かにして日本経済を土台から温めることが重要です。
そのためには「財界・大企業中心」の政治を根本から転換することが不可欠です。民主党にはその立場がありません。財界・大企業に堂々とモノが言える日本共産党を伸ばしてこそ、日本の未来を開くことができます。
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