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2009年8月19日(水)「しんぶん赤旗」

主張

党首第一声

自公政権後の政治どうするか


 歴史的な総選挙が公示になりました。自公の政治を終わらせたあと、どのような政治を築くのか―ここに論戦の焦点が移っているなか、各党党首の第一声に耳を傾け、目を通しました。

「国のあり方」ふれたのは

 東京・新宿で第一声をあげた日本共産党の志位和夫委員長は、自公政権に真正面から対決してきた日本共産党を伸ばして自公の政治をきっぱり終わらせようと力強く訴えました。なかでも圧巻は、自公に代わる新しい政治の旗印を明らかにしたことです。

 国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」をつくる、憲法9条を生かした「自主・自立の平和外交」に切り替える―。一言でいえば、「財界中心」「日米軍事同盟中心」の政治から、憲法に「主権在民」と書いてあるとおり「国民が主人公」の政治に踏み出していく。自公政治に代わる新しい政治の方向を示したものです。志位委員長は財源問題でも、軍事費などムダ遣いの一掃と大企業・大資産家の応分の負担という「聖域」に踏み込むことを力説しました。

 志位氏の第一声が文字通り「国のあり方」を正面から提起したのにたいし、自民、公明の与党党首の第一声にも、民主など野党党首の第一声にも、そうした根本的な提起は見られません。焦点となっている財源問題についてさえ、自民党は公約で売り物にしている消費税増税にふれず、民主も財源にまったく踏み込みませんでした。

 異常だったのは東京・八王子で第一声を上げた麻生太郎首相です。北朝鮮を「明確な脅威」と位置づけた安全保障問題で、「守らなければならないのは暮らしだけでなく、一番守らなければならないのは日本だ」と主張したのです。麻生氏がいうのは、「日米同盟」に頼って北朝鮮に軍事で対抗することだけで、国連や6カ国協議を舞台に外交的に解決することは眼中にありません。オバマ米大統領の「核兵器のない世界」提唱を機に高まっている核兵器廃絶についても、一言もありません。世界の流れに逆らう自公政治が続けば、いよいよ日本が世界で孤立するのは明らかです。

 麻生氏の演説には、「安心」や「責任」のことばはありますが、小泉「構造改革」路線をやめるとはいわず、国民の暮らしをズタズタにしたことへの反省はありません。

 麻生氏が売り物にする「安心実現社会」も、国民の暮らしと権利を守る「ルール」の確立抜きには実現できません。「安心」を口にするなら、麻生氏がまず政権を退き、自公政治に代わる、新しい政治に道を譲るべきです。

「建設的野党」伸びてこそ

 一方、大阪で第一声をあげた鳩山由紀夫民主党代表の演説には、「政権交代」や「官僚任せの政治」への批判はありますが、「財界中心」と「日米軍事同盟中心」という自公政治のゆがみの大もとをただす立場がありません。「子ども手当」などをめぐり民主党の財源論が批判されているのに、財源問題に一言もふれないのはなぜか。

 大もとを変える立場がない民主党政権では、自民党政治をきっぱり終わらすことはできません。一致する政策では協力するが、国民の利益にならないことにはきびしく反対する「建設的野党」の日本共産党を伸ばしてこそ、新しい政治を前に進めることができます。



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