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2009年8月14日(金)「しんぶん赤旗」

主張

核兵器廃絶

「核の傘」離脱が問われる


 「核兵器のない世界」の実現に日本が貢献するうえで、米国の「核の傘」に依存し続けるのか、それとも「核の傘」から離脱して「非核の日本」をめざすのかが、大きな焦点になっています。

 麻生太郎首相は、「原爆の日」の広島市での記者会見(6日)で、米国の「核の傘」に依存し続ける認識を示し、長崎市での記者会見(9日)では「核抑止」の考えに立って、核兵器の先制使用の禁止に否定的な見解を示しました。核兵器の廃絶を願う被爆国の国民の願いに背を向けた態度です。

異常で恥ずかしい態度

 いま世界では、米国のオバマ大統領が「核兵器のない世界」を追求すると宣言したことをきっかけに、核兵器廃絶の流れが加速しています。日本を訪れたデスコト国連総会議長も「歴史的好機」を生かすことを強調しました。

 もともと核兵器で相手を威嚇する「核抑止」の考え方も、その米国に核兵器で守ってもらうという「拡大抑止」の考え方も、いざという場合には核兵器を使うことを前提とした論理です。あくまで「核の傘」に依存し続けようという麻生首相の発言は、世界の流れに逆らう、異常で恥ずかしいものです。

 見過ごせないのは、「核抑止」や「核の傘」に固執する日本政府が、「核兵器のない世界」に踏み出そうとしている米政府の足まで引っ張っていることです。

 麻生首相はオバマ大統領が「核兵器のない世界」をめざすと演説した直後、「核抑止」を含む「拡大抑止」が重要だとの親書をオバマ大統領に送りました。被爆国の首相が「核兵器をなくすな」と進言するなど言語道断です。

 在米日本大使館が核兵器の温存のために米政府に働きかけていたことも、5月公表の「米国戦略態勢議会委員会」報告書で発覚しました。米攻撃型原潜に搭載する核巡航ミサイル「トマホーク」を2013年で退役させる米政府の計画に反対したのです。

 日本政府が核兵器を積んだ米艦船の日本への立ち寄りや領海の通過を認めた日米「核密約」の存在が明らかになっていますが、日本政府が米国の「核の傘」に依存し続ける限り、いつ何時、核兵器が日本に持ち込まれるかわかりません。米政府が攻撃型原潜に「核トマホーク」を積載する態勢を継続している以上、寄港する原潜が「核トマホーク」を積んでいないという保証はありません。

 日本政府にすべての「核密約」を公開させ、破棄させることが重要です。同時に米国の「核の傘」から離脱し、名実ともに「非核の日本」を建設することが不可欠です。そうしてこそ日本が「核兵器のない世界」に向け、被爆国らしいイニシアチブを発揮することができます。

「非核の日本」実現を

 麻生政権が核兵器廃絶の足を引っ張るのは、「核密約」をふくめ、日米安保条約=軍事同盟を絶対視しているからです。民主党も「核兵器廃絶の先頭に立ち」といいながら、米軍の核持ち込み問題では迷走を続けています。「核の傘」からの離脱というしっかりした立場がないからです。

 米国の「核の傘」から離脱して「非核の日本」実現を提唱し、行動している日本共産党が伸びることこそ、「核兵器のない世界」実現の確かな力となるのは明らかです。



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