2009年8月13日(木)「しんぶん赤旗」
主張
経済の安定
暮らしに軸足を移してこそ
週明けに発表される4〜6月期の実質GDP(国内総生産)は前期比でプラスに転じる見込みです。
自民党は景気対策を総選挙の目玉にしています。自民党の「政策ミニパンフ」は「景気回復はっきりと」と見出しを立て、「経済対策による効果が着実に出ています。各経済統計にはっきり見え始めました」と強調しています。
大企業の業績や一部の統計数字が良くなったから「景気回復」だというのは、自民党のいつものやり方です。そこには国民の暮らしの目線がありません。
厳しい生活はっきりと
なにより、国民の暮らしを支える大もとの雇用が急激に悪化しています。6月の完全失業者は前年同月と比べて過去最悪となる83万人も増え、348万人に達しました。11日に政府が発表した月例経済報告でも「雇用情勢は、急速に悪化しており、厳しい状況にある」とのべています。
総務省の11日の家計調査報告によると、勤労者世帯の手取り(可処分所得)は1〜3月、4〜6月と連続で大幅に減少しました。
暮らしの困難がこんなに「はっきりと」しているのに、何が「景気回復はっきりと」でしょうか。
4〜6月期のGDPが伸びる見通しとなっているのは、一時的な要因が重なったためです。輸出大企業の激しい在庫削減が一巡し、各国の財政出動で内外の需要が一時的にかさ上げされました。とりわけ輸出大企業の業績回復は、身勝手な「派遣切り」、正社員に及ぶリストラ、「下請け切り」で労働者と下請けに犠牲を転嫁した結果です。内需の根幹である雇用と家計、中小企業を痛めつける「景気回復」に持続性はありません。
麻生太郎首相は「景気対策が最優先」「これが自民党からの約束」だとアピールしています。
自公政府の「構造改革」は不安定雇用を増やし、家計にツケを回して輸出大企業を応援する大盤振る舞いを続けてきました。内需の犠牲の上に進めた輸出頼みの成長路線こそ、世界経済危機の影響をこれほど深刻にした原因です。日本リサーチ総研が発表している「生活不安度指数」によると、自公政治のもとで国民の不安度は跳ね上がり、バブル崩壊直後の水準を大きく上回り続けています。
失政の反省もなく、暮らしの目線もない首相と自公政治は、内需主導の日本経済を実現する上で障害物以外の何物でもありません。「景気対策」と言うなら、自公政権の退場が一番です。
自民党の総選挙公約は「10年で家庭の手取りを100万円」増やすとしています。自公が連立を組んだ1990年代の後半以降、勤労者世帯の可処分所得は大幅に減少しました。雇用の規制緩和で非正規雇用が広がって1人当たり賃金が減り、社会保障の負担増や庶民増税を繰り返した結果です。
行き過ぎた減税にメス
この政治の根本を変えなければ家計の所得は増えません。ましてや自民党、民主党のように、軍事費の無駄遣いや大企業・大金持ちへの行き過ぎた減税にメスを入れられず、消費税増税に頼る政治では家計は冷え込むばかりです。
日本経済を安定させ、暮らしを立て直すには、日本共産党が主張しているように、財界・大企業から国民の暮らしに軸足を移す経済政策の根本転換が不可欠です。