2009年8月11日(火)「しんぶん赤旗」
高速道料金
共産党 予算は福祉・教育優先に
自公「料金値下げ」 民主「無料化」だが
自公政権が“選挙目当てのバラマキ”として高速道路の休日「千円乗り放題」を2年間限定で実施したのに続き、民主党が政権公約で「高速道路無料化」「ガソリン税等の暫定税率廃止」を掲げています。こうした動きに対し、環境団体は相次いで撤回を求める声明を発表。連合加盟の私鉄総連からも「公共交通の経営を脅かす」と異論がでています。
税金で穴埋め
2008年度の高速道路6社の料金収入は約2・3兆円。現在は高速道路会社の管理費や、高速道路を保有する債務返済機構の債務償還(総額約35兆円)に充てられています。高速道路料金が値下げ・無料化されれば、借金の返済は国民の税金で肩代わりすることになります。
民主党は、高速道路を無料化すれば地域経済が活性化し、渋滞解消で温暖化対策にもなると主張します。しかし、無料化に必要な予算は民主党の試算でも1・3兆円。無料化の範囲によっては、この試算を大幅に上回る可能性もあります。くらし・福祉にかかわる予算への影響は避けられません。
また、揮発油税など自動車関連税の暫定税率を廃止すれば2・5兆円の減収となります。無料化と合わせ4兆円に迫ります。
環境に影響も
環境に与える影響も深刻です。環境自治体会議・環境政策研究所は、高速道路「千円乗り放題」によって、今春の大型連休2週間だけで二酸化炭素の排出量が66万トンも増加したという試算を発表しています。無料化した場合の影響は、その比ではありません。
民主党に強く再考を求める意見書を送った「クルマ社会を問い直す会」の杉田正明世話人は、自動車を利用できない交通弱者が3割に上ることもあげ、「公共交通の比重を高める政策こそ必要。自動車産業に依存した社会構造を、持続可能な社会構造に転換すべきだ」と指摘。暫定税率については「ムダな道路建設に使われてきたことは事実」としながら、自動車が環境や社会に与える負荷を考えれば税率は下げるべきではないといいます。
高速道路無料化・暫定税率廃止に反対する声明を発表した気候ネットワークの浅岡美恵代表も、「交通部門全体で温室効果ガス排出を削減するための議論が欠けたまま、国民の受けがいいかどうかだけで決めるのは困る」と指摘します。
連合加盟の私鉄総連は、政府の「千円乗り放題」が「(自動車と)公共交通との公正競争を崩壊させ、鉄道・バス・フェリーなどの経営を脅かし」「生活交通の崩壊を招いている」と批判。民主党の高速道路無料化にも同様の問題があると指摘しています。(佐久間亮)
日本共産党の政策から
日本共産党は、「税金の使い方」として「高速道路無料化より福祉・教育を優先する」(総選挙政策)ことを訴えています。ムダな道路建設に歯止めをかけないまま、無料化や大幅引き下げに巨額の税金をつぎ込むことは、税金の使い方として適切でないからです。
日本共産党が掲げる「子どもと高齢者の医療費無料化」の予算は1兆3000億円。民主党の高速道路無料化予算と同額です。暫定税率がムダな高速道路づくりの財源となってきたのは事実であり、廃止は当然です。ただし、その場合、環境税に転換することを検討しています。
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