文字の大きさ : [] [] []

2009年8月6日(木)「しんぶん赤旗」

原水爆禁止2009年世界大会

国際会議宣言(全文)


 5日、原水爆禁止2009年世界大会・国際会議が採択した宣言(全文)は以下の通りです。


 広島・長崎への原爆投下から64年―。世界はいま、核兵器廃絶への大きな転機を迎えている。「人類と核兵器は共存できない」との被爆者の声は、世界諸国民の圧倒的な世論となり、国際政治を動かしている。我々は、核兵器のない世界へと新たな歴史のページを開くため、地球規模で連帯し行動するよう、すべての人びとによびかける。

 核兵器の脅威や戦争に反対し、核兵器のない平和な世界を求める諸国民の運動によって、世界に大きな変化が生まれている。

 今年4月、オバマ米大統領は、アメリカには核兵器を使った唯一の国として行動する「道義的責任」があると述べ、「核兵器のない世界の平和と安全を追求する」と宣言した。最大の核保有国の首脳が核兵器廃絶と、そのための協力を世界によびかけたことを歓迎する。一部の国だけが核兵器を保有しつづける体制の危険性は明らかである。新たな核拡散を防ぐためにも核兵器を廃絶するほかない。この主張は、政治家や閣僚も含め、核保有国やその同盟国の中に広がっている。

 いかなる国も核兵器を持たず、平和や安全を核兵器に頼らない世界こそ、広島・長崎の被爆者、世界の反核・平和運動、非核・非同盟の国々をはじめ、世界の圧倒的多数の人々が望み、要求しつづけてきたことである。いまこそ、この実現のために、さらに行動を強めよう。

 核兵器のない世界は、その実現そのものを共通の目標とし、法的な枠組みに合意し、誠実に実行してこそ達成できる。そのために我々は、アメリカをはじめすべての核兵器国が核兵器廃絶の「明確な約束」を実行し、来年5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議が、核兵器全面禁止・廃絶条約のすみやかな締結に向け、具体的な一歩を踏みだすよう強く要求する。

 米ロの戦略核兵器削減合意を歓迎し、さらなる大胆な削減によってゼロへ向かうよう求める。包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期批准と発効、検証を伴う核分裂物質生産禁止条約の締結、また、核兵器先制不使用、非核兵器国への核の威嚇・使用の禁止、中東非核兵器地帯の創設などを推進すべきである。これら核軍縮にかかわる部分的、個別的措置は、核兵器廃絶の目標と明確に結びつけ実現をはかることが重要である。

 核兵器のない世界の実現のためには、「核抑止力」論をはじめ、核兵器を安全保障の手段と見なす誤りに、きっぱりと終止符を打たなければならない。平和や安全を口実にした膨大な核兵器の保有、大国の「核の傘」への依存は、緊張と核拡散を助長する役割しか果たさない。核兵器の近代化や核軍備の維持増強、軍事費の拡大、原子力協力の名による核拡散は、ただちに中止すべきである。

 我々は、北朝鮮の核兵器開発に抗議し、「朝鮮半島非核化のための6者協議」へのすみやかな復帰と核開発計画の放棄、核兵器廃絶の世界的努力への合流をよびかける。

 核拡散問題に軍事的解決の道はない。対話と交渉こそが求められる。

 唯一の被爆国でありながら、米国の「核の傘」にあくまで依存しつづける日本政府の態度は、核兵器のない世界の実現にとって重大な障害である。我々は、「核の傘」からの離脱、「非核三原則」と憲法9条にもとづく非核平和の日本をめざす運動に連帯する。

 破滅的な核の恐怖にさらされた世界から核兵器のない平和で安全な世界へ―。2010年5月、ニューヨークで開催されるNPT再検討会議を、歴史的な転換点にしなければならない。

 反核平和運動の国際ネットワーク「廃絶2000」は、5月2日を「核兵器のない世界のための国際行動デー」とし、全米平和正義連合とともに、ニューヨークでの大行動と、核兵器廃絶を求める署名の共同提出を呼びかけた。我々は、このよびかけを歓迎し、「核兵器のない世界を」国際署名を共通の行動とする多彩で創意あふれる共同行動を、世界の草の根から発展させる。

 我々は、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)や世界平和市長会議の「2020ビジョン」、核廃絶の火キャンペーン、科学者による廃絶キャンペーンなど核兵器廃絶につながる世界のすべての運動と連帯する。

 我々は、広島・長崎の被爆者、世界の核被害者の運動と固く連帯する。被爆者は、その心と体の深い傷にもかかわらず、核の惨禍の生き証人として、核兵器廃絶を訴えつづけてきた。人類は、このメッセージを受けとめ、核兵器のない世界を実現する強固な意思をつくりあげなければならない。

 我々は、反戦平和、枯れ葉剤など戦争被害の救済、地球環境の保護、女性の社会的地位の向上、貧困・失業・飢餓の克服、軍事費の大幅削減などを求める諸運動と連帯し、核兵器のない平和で公正な世界を築くようよびかける。

 これこそ人類がめざすべき未来である。我々は、未来を担う青年の創意とエネルギーに満ちあふれた活動を支援し、彼らがこの行動に加わることを心から期待する。被爆者とともに、そして若い世代とともに、いまこそ行動に立ち上がろう。

 2009年8月5日

 原水爆禁止2009年世界大会・国際会議


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp