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2009年8月6日(木)「しんぶん赤旗」

自公 道州制を“目玉政策”に

福祉・教育 国の責任放棄

財界が繰り返し要求

民主も推進の立場


 自民・公明両党は総選挙のマニフェストに「地方分権」を掲げ、「道州制基本法を早期に制定し、基本法制定後6〜8年を目途に導入」(自民)、「地域主権型道州制の導入」(公明)などと道州制を“目玉政策”として打ち出しています。

 民主党のマニフェストには「道州制」の言葉はありませんが、政策の土台となる2009年版政策集には、国の役割を限定して「将来的な道州の導入も検討」すると明記しました。長妻昭政調会長代理は「道州制にもっていく流れを推進する」と述べています。

 道州制は、約1800に減った市町村をさらに700〜1000に再編・統合したうえ、都道府県を廃止し10前後の道州に再編するというものです。国の仕事を外交・軍事・司法などに限定。雇用・福祉・教育など憲法が定める国の責務を投げ捨て、地方に押し付ける狙いです。国が財源を保障している教育や福祉の標準的水準の大幅な引き下げにつながります。

経団連が評価

 道州制の発信源は財界です。日本経団連の御手洗冨士夫会長は3日の自民党幹部との意見交換会後にわざわざ道州制に言及し、「マニフェストに入れたことを非常に評価している」と期待を表しました。

 日本経団連は道州制導入を繰り返し提言してきました。08年11月に発表した「道州制の導入に向けた第2次提言」では、国の統治機構を根本から見直す「究極の構造改革」と位置づけています。

 提言は、道州制を導入して公務員を大幅に削減し公共投資を「効率化」すれば、5兆8483億円の財源を生み出せると試算。道州が「企業誘致」のために道路や港湾などの「インフラの整備を自主的に行う」ことが可能になるとしました。

 行政サービスを住民から遠ざけて新たな資金をつくりつつ、大企業誘致のための大型開発競争に道州を駆り立てるものです。

 もともと、地方を疲弊させたのは自公政権が推し進めた「構造改革」路線です。

 市町村合併を押し付け、「三位一体改革」で地方財源を大幅に削減しました。04〜06年度の3年間に地方に移譲された税源は3兆円。しかし補助金4・7兆円と交付税5・1兆円が削減され、差し引き6・8兆円ものマイナスでした。

 地方の切り捨てをさんざん進めたあげく、道州制で一層の「構造改革」を推進する自民・公明の姿勢は、「地方の活性化」とは無縁です。

 道州制は、国民の願いから出発したものではありません。全国町村会の山本文男会長は「道州制導入のこれまでの議論は政府や財界主導によるものであり、主権者たる国民の感覚から遊離したものとなっている」と批判しています。

共産党は反対

 日本共産党は、福祉や教育への国の責任を投げ捨て行政を住民から遠ざける道州制は、地方のいっそうの疲弊と地方自治の形骸(けいがい)化をもたらすもの、と反対を表明しています。

 本当の地方分権とは、市町村が暮らしや営業を応援する仕事ができるように財源を保障することです。日本共産党は、福祉や教育などの国庫負担金・補助金の廃止・縮減に反対し、その充実こそ必要と提起しています。



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