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2009年8月5日(水)「しんぶん赤旗」

主張

農業再生

財界と米国にモノ言う党こそ


 日本の食料と農業が重大な危機に直面しています。先進国中最低水準の食料自給率、埼玉県の総面積にも匹敵する耕作放棄地、「高齢化」する農業者―。農産物価格は下がり続け、大規模農家でさえもやっていけないのが現実です。総選挙では自民党まで含めた各党が、食料自給率の引き上げを掲げています。

落ち込む食料自給率

 日本の食料自給率は低下の一途をたどっています。約20年前に50%(カロリーベース)を割り、2007年は40%に落ち込みました。食用と飼料用を合わせた穀物自給率はわずか28%です。歴代自民党政権の農業破壊の結果です。

 自民党政権は、財界の要求に沿って工業品の輸出拡大と引き換えに農産物の市場開放を進め、日本農業を危機に追いやってきました。一方で米政府はアグリビジネスと呼ばれる米系多国籍企業と一体で、食料供給を通じて他国を支配する食料戦略を推進し、日本に市場開放を迫ってきました。自民党政権は米国の言いなりに日本農業に犠牲を強いてきたのです。

 貿易をめぐる多国間交渉も日本の市場開放に拍車をかけてきました。世界貿易機関(WTO)農業協定によるミニマムアクセス(最低輸入機会)米の不当な押し付けを受け入れ、国境措置を引き下げ、価格政策を放棄するなど農業切り捨てを進めてきました。

 世界的な飢餓人口の増大と食料価格の高騰は食料を海外に依存する危険を浮き彫りにしています。食料は海外から買えばいいという立場はもはや通用しません。農産物市場を際限なく外国に開放し農業つぶしを進めてきた自民党農政を根本的に転換し、日本農業を再生させ、食料自給率を抜本的に引き上げることが急務です。

 日本共産党は総選挙政策で「ルールある経済社会」を築く柱の一つとして農業再生の方針を明らかにしています。農業者が安心して農業にはげめるよう価格保障・所得補償を実施します。農林漁業の担い手を育成し、後継者確保のために就業援助を強めます。

 同時に、関税など実効ある輸入規制をはじめ、農業政策を自主的に決める「食料主権」を保障する貿易ルールを確立します。WTO農業協定の根本的な見直しを求め、外国とのFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)では、日本農業に重大な打撃をあたえるものには反対をつらぬきます。

「建設的野党」として

 こうしたなか、自公政権が従来「将来の課題として検討する」としてきた米国とのFTAを、民主党が「締結」するとマニフェスト(政権公約)に明記し、農業者と国民の批判を呼んでいます。

 米国とFTA交渉に入れば、日本の農産物市場開放が主要議題になることは必至です。日本はすでに米国からトウモロコシや大豆、小麦、牛肉など大量の農産物を輸入しています。関税を撤廃する日米FTAは日本農業に壊滅的な打撃を与えるものとなります。

 日本共産党の志位和夫委員長は米国とのFTAに強い反対を表明するとともに、民主党の態度を批判しました。民主党の政権になっても、財界と米国に対して堂々とモノが言え、よいことは推進するが悪いことには反対をつらぬく「建設的野党」としての日本共産党の役割が重要です。



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