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2009年8月4日(火)「しんぶん赤旗」

主張

気象の異常

災害の予防こそ最大の対策


 梅雨明けの遅れ、集中豪雨、例年に比べ多い降雨と日照不足と、気象の異常が続いています。

 7月末に九州北部と中国地方を襲った集中豪雨では、30人の死者・行方不明者が出ました。北日本の多雨と日照不足で農産物に被害が広がり、都市部でも野菜の値上がりが出始めるなど、暮らしへの影響も目だっています。

 気象の異常を防ぐのは簡単ではありません。しかし、気象の異常は防げなくても、十分な対策をとれば被害を減らすことはできます。備えを怠らず予防に努めることこそ、最大の対策です。

気象の異常は起きる

 例年なら焼け付くような太陽に照らされているこの時期、今年の梅雨明けが大幅に遅れている原因は、夏の暑さをもたらす太平洋高気圧の張り出しが弱いためといわれています。そのため高気圧の縁を回って温かく湿った空気が吹き付け、日本列島のあたりで北の冷たい空気とぶつかって、雨をもたらしたのです。

 7月末に九州北部や中国地方を襲った集中豪雨も、長い時間にわたって同じような場所で次々と積乱雲がわきあがり大量の雨を降らしたためと分析されています。

 しかし、なぜ今年は太平洋高気圧が弱いのかといわれると、まだよくわかりません。気象庁は3日、異常気象分析検討会を開いて、異常気象をもたらした要因について検討しました。南米のペルー沖の太平洋で海面の温度が高くなる「エルニーニョ現象」との関連が指摘されていますが、地球の温暖化がどのくらい影響しているのかなど、解明はこれからです。

 はっきりしているのは、気象の異常が起これば、国民の暮らしに大きな被害をもたらすことです。気象庁の分析でも、集中豪雨の回数は長期的に増加傾向にあり、しかも1時間の雨量が100ミリといった、異常な豪雨が増えています。原因の究明とともに、気象の異常が起こりうることを予想して、災害を防ぎ、被害を最小限に抑える対策が不可欠です。

 近年の日本列島は、毎年のように梅雨明けの集中豪雨に見舞われてきました。今年は九州北部や中国地方で土石流が大きな被害を引き起こしていますが、昨年は東京など都市部でゲリラ的な豪雨が被害をもたらしました。

 気象の異常で被害が想定されるなら、それに十分な対策をとるのは政治の責任です。十分な対策をとっていれば被害は減らせたのに、それを怠ったのでは、国民の安全と国土の保全に対する政府の責任が問われます。毎年のように集中豪雨などで大きな被害が相次いでいるのは、まさに自公政治の責任というほかありません。

対策怠った政府の責任

 たとえば政府の「災害予防」予算は、地震や風水害などあらゆる災害を合わせてもわずか6000億円あまりと予算全体の1%にも満たず、1兆円台を超していた1990年代末に比べても大幅に減っています。これでは国民の生命と安全に責任を負っているとは、とてもいえません。

 異常気象を引き起こすといわれる地球温暖化などへの対策はもちろん必要です。同時に災害はどこでも起こりうることを前提にして、一人の生命も家屋など財産も失われることのないよう、体制を築いていくことが求められます。



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