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2009年8月2日(日)「しんぶん赤旗」

主張

比例定数削減公約

民主主義を土台から壊す暴挙


 民主党が総選挙に向けたマニフェスト(政権公約)の第一の「約束」に「ムダづかい」をなくすという政策をかかげ、そのなかで「衆議院の比例代表定数を80削減します」とうちだしています。

 比例代表の定数削減は、少数政党を国会から締め出し、自民党と民主党で事実上議席を独占することになります。これは民意を大きく切り捨てるもので、民主主義を土台から破壊する暴挙です。

大政党が議席を独占

 各政党の得票率に応じて議席の配分が決まる比例代表制は、国民の意思が議席に正確に反映する選挙制度です。1選挙区から1人の議員を選ぶ小選挙区制は、大政党でなければ当選しにくい、きわめて不公平な選挙制度です。議席に結びつかない投票は「死票」になります。

 現在の衆院の選挙制度は、もともと1993年、1選挙区で3人以上を選んでいた中選挙区制を廃止し、小選挙区制を導入するために持ち込まれたものです。しかも当初は小選挙区300、比例200だったものが、1999年の改悪によって、小選挙区の定数はそのままで、比例代表の定数だけ20削減し、180になりました。選挙制度のゆがみは、いっそう激しくなっています。

 民主党のいうようにさらに比例を80議席削減すれば、比例定数は100となり、当初に比べ半減します。しかも全体で400になる衆院の議席は、4分の3までを大政党に有利な小選挙区が占めることになります。直近の国政選挙の得票をあてはめて計算しても、自民と民主が議席では95・3%を占めることになります。文字通り少数政党の締め出しと、大政党の議席独占が進むことになります。

 これは国民の意思が議会の構成に正しく反映しないということです。多くの民意は切り捨てられます。まさに比例定数削減で削られるのは「ムダ」ではなく、主権者の意思そのものです。

 民主党は比例定数削減を「ムダをなくす」ためといいますが、いったい比例代表で選ばれる議員や、その議員を送り出した有権者の意思が「ムダ」だというのでしょうか。本当に「ムダ」をなくすというなら、年間320億円もの税金を日本共産党以外の各党でわけどりする、憲法違反の政党助成金こそやめるべきです。

 小選挙区制については“母国”といわれたイギリスでも多様な民意を反映しないというので見直しの議論が進んでおり、世界では比例代表制度が大勢です。民主主義を土台から壊し、どこから見ても道理のない比例定数の削減をやめさせるために、政治的立場のちがいをこえ、民主主義を守る共同を広げようではありませんか。

危険な動き許さぬ党を

 今回の総選挙は、国民から見放されつつある自公の政治に終止符を打ち、新しい政治を切り開く選挙です。日本共産党は、総選挙の結果、民主党中心の政権ができた場合は、「建設的野党」として、個々の一致する課題で国民の切実な願いを実現させる「推進者」となり、間違った政治に対してはそれを許さない「防波堤」役を果たすことを明らかにしています。

 この党が伸びてこそ、民主主義を土台から壊す比例定数削減のような暴挙をくいとめる、たしかな力となります。


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