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2009年8月1日(土)「しんぶん赤旗」

主張

武器禁輸「見直し」

もうけ本位の戦争助長要求だ


 武器輸出三原則の見直しをめざす政府、財界の動きが重大な段階を迎えています。

 日本経団連は、「わが国の防衛産業政策の確立に向けた提言」を発表し、「武器輸出三原則等を見直すべき」だと明記しました。政府が年末に改定する「防衛計画の大綱」に三原則見直しを明記させ、米国以外にも武器を輸出するのが狙いです。政府部内でも三原則見直しの議論が進み、自民党も見直しの提案を政府に提出しています。経団連の提言が政府の見直し作業に拍車をかけるのは必至です。

他国民の命を犠牲に

 政府は2004年に、ミサイル防衛に関する日米共同開発・生産に限って武器輸出三原則適用の例外にしました。とはいえ、三原則がある以上、財界・軍需企業は武器を世界に輸出できません。三原則が武器の流出の歯止めであることに変わりありません。

 日本の企業がつくる武器が他国民の命を奪うことがないのも三原則を守っているからです。財界は武器輸出でばく大なもうけをあげるためにこの三原則が邪魔なのです。日本を紛争や戦争を助長する「死の商人」の国にする財界の企てを許すわけにはいきません。

 経団連は、「わが国や国際社会の安全保障・平和維持に対してどのように貢献するかを判断基準」にして武器輸出を認めよといいます。しかしどのような口実であろうと、武器を諸外国に売れば、紛争や戦争でその武器が使われ、多くの他国民の殺傷につながります。

 そもそも武器を輸出することと人命尊重とは両立するはずがありません。兵器産業のもうけさえあがれば、他国民の命などどうでもいいという財界の態度は、あまりに身勝手です。

 とくに経団連が、米欧が共同して次世代の戦闘機F35を開発していることを持ち出して、「研究開発の段階から積極的に国際共同開発に参加すべき」だといっているのは見過ごしにできません。国際共同研究開発は各国の技術を集め、殺傷能力の高い武器をつくるのが目的です。最新鋭の武器はより多くの犠牲を生むことにしかなりません。

 政府が「防衛計画の大綱」の見直し作業のために設置した「安全保障と防衛力に関する懇談会」の議論も、「日本企業が国際共同開発に参加できるよう三原則を見直す必要がある」という方向です。新「防衛計画の大綱」に向けた自民党の「提言」も、「更なる三原則の見直しが必要」といっています。

 事態は重大です。見直しの動きに国民的監視と批判を強めることがいよいよ重要です。

三原則を守ることこそ

 いま世界では紛争を戦争ではなく、政治的・外交的に解決するのが中心的な流れです。武力不行使を原則にした東南アジア友好協力条約(TAC)加盟国が激増していることでも明らかです。この平和の流れを加速するのが憲法で戦争を禁止した日本の役割であるはずです。

 武器輸出三原則は、「国際紛争を助長することを回避するため」(1976年2月27日政府統一見解)であり、「憲法の平和主義にのっとったもの」(81年2月20日、角田禮次郎内閣法制局長官=当時)です。平和を求め、戦争をなくすためにも三原則の見直しを許さないとりくみが必要です。


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